高知市立長浜小学校の児童が水泳の授業中に亡くなった事故を受け、高知県教育委員会は5月1日、「小学校の水泳指導における安全管理指針」を新たにまとめ公表した。指針では安全管理のポイントを項目ごとに掲示、プールの適切な水深については「児童のへそから胸あたりを基本」とし、授業では教員とは別にプール全体を見渡し監視する者を1人以上、配置するよう明記した。
新たに示された指針は2024年7月、長浜小4年の男子児童(当時)が中学校のプールで行われた水泳の授業中に溺れて死亡した事故の後、同市の検証委員会による報告書を踏まえ策定された。
それによれば、プールの適切な水深は「児童のへそから胸あたりを基本」とした上で、「全ての児童の両肩が水面から出ていること」を必ず確認するよう強調。児童間の体格差・泳力差への対応として、水深の浅い場所を選んだり、水深調整を行う「プールフロア」の器具を利用したりして、適切な水位設定を工夫するとした。
また授業では、授業を行う教員とは別に、プールサイドからプール全体を見渡し監視する者を1人以上配置し、配置できない場合は授業を実施しないことを明記。昨年7月の事故時は中学校のプールで授業が行われていたため、学校外のプールを使用する場合、あらかじめ管理職や教育委員会などが安全性を確認し、その上で授業の実施を判断するとした。
泳ぎが得意でない児童に対しては事前に泳力を把握し、授業を行う教員・監視を行う者との間で情報を共有しておくほか、小学校学習指導要領の解説・体育編にある「苦手な児童への配慮の例」を参考にして、児童の安全を確保しながら指導するとした。
さらに事故防止策として、入水後・指導中・耐水後の人数確認に加えて、児童が2人1組をつくり、相互に安全を確かめ合う「バディシステム」を徹底するよう促した。
高知県教委では指針に基づき、今月、県内小学校の教員を対象に安全管理の研修会を行う予定だ。
【キーワード】
バディシステム 水泳の指導を行う際に、二人一組をつくり、定期的に互いに安全を確かめさせる方法。教員の笛の合図と「バディ」という号令がかかると、互いに片手をつなぎ合わせて挙げさせ、点呼を取るなどのやり方で行われる。その際、相手の表情や動作を観察し、異常があればすぐに報告するように指導する。