改正道路交通法により、自転車利用者にヘルメット着用が努力義務とされてから2年。大阪府のヘルメットメーカーが都道府県教育委員会に公立高校のヘルメット着用について調査したところ、6県が自転車通学時に「義務化している」と答えたことが4月30日に分かった。また、義務化には至らないものの、ヘルメット着用を自転車通学の条件にするなど、全ての自治体が着用の推進に取り組んでいるといい、同メーカーは「調査結果の活用や自治体へのヘルメット寄贈なども通して命を守るヘルメット着用の推進にさらに取り組みたい」と話している。
調査を行ったのは、自転車用ヘルメットなどを製造販売するオージーケーカブト(本社・大阪府)。同社は5月1日を「自転車ヘルメットの日」と定めており、ヘルメット着用が努力義務とされて2年となるのを機に、通学利用が多く、通学距離も長い高校での自転車通学指導について、産経デジタルと共同で全都道府県を対象に調査を行った。
調査結果によると、42都道府県から回答があり、自転車通学時のヘルメット着用を公立高校に義務化していると答えたのは、「鳥取県」「山口県」「愛媛県」「高知県」「大分県」「福岡県」の6県だった。警察庁が昨年発表した都道府県別の自転車ヘルメット着用率によると、全国1位は愛媛県の69.3%、2位は大分県の48.3%で、公立高校での義務化が全体の着用率向上につながっていることが分かった。
一方、義務化まではしていないものの、36都道府県のいずれも「着用促進における活動を行っている」と答えた。主な内容としては、「警察と連携した交通安全教育の実施」「各学校の自転車通学許可要件に、ヘルメット着用に努めるとの一文を必ず追記するよう依頼」「チラシの配布」などを挙げた。義務化まではできない理由としては、「(教員などの)指導の負担が増えるため、義務にはできない」「費用負担などがあるので義務化にはしていない」などと課題を挙げる声もあった。
自転車の安全利用に向けた啓発活動を行う「自転車の安全利用促進委員会」によると、昨年の自転車乗用中の10万人当たりの死傷者数は、高校生の年代の15~19歳で218.4人に上り、全年代の52.7人の4倍に達している。
調査にあたった同社企画・広報課は「ヘルメット着用を義務化している県以外でも、高校生の自主性を重んじながら推進するなどさまざまな努力をしていることが調査から伺えた。現在、大阪府と福岡県、兵庫県で高校生にヘルメットを寄贈して着用前後の安全意識の変化を調べる取り組みなども進めており、さらに自治体などと連携して推進に努めたい」と話している。