高校無償化を巡る自民、公明、日本維新の会の実務者協議が5月8日、国会内で開かれ、2026年度からの私立高校の授業料無償化に向けて、対象となる学校の範囲や便乗値上げ対策などについて優先的に議論し、今月中に一定の方向性を示す方針が決まった。近く先行自治体や保護者の代表などからヒアリングを行い、協議を加速させる。その上で政府が6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)への反映を目指す。
3党はこれまでの協議で、今年度からの公立高校の実質無償化に続いて26年度から私立高校の授業料も所得制限を撤廃して45万7000円を上限に就学支援金を支給する方針を決めており、具体的な制度設計に向けた協議を続けている。会議の冒頭、自民党の柴山昌彦元文科相は「すでに各高校で生徒募集に向けた作業がスタートしており、6月中~下旬の骨太の方針案の策定に向けて協議を加速化させなければいけない。特に高校の募集要項で必要となる金額や無償化となる学校の範囲はしっかりと詰めていきたい」と話した。
会議後にブリーフィングした柴山元文科相によると、協議の中では、すでに中学3年生の進路指導や各高校の募集要項づくりが始まっており、授業料や外国人が通う学校も対象となるかどうかなどに対する保護者の関心が高いことを踏まえて、最終的な就学支援金の額や対象範囲、便乗値上げ対策などについて優先的に議論を進め、今月中に一定の方向性を示すことで合意した。
また、方向性をまとめるに当たって、先行して私立高校の無償化に取り組んでいる東京都や大阪府から、便乗値上げ対策や公立高校の定員割れ対策などを聞くとともに、当事者として保護者の代表からもヒアリングを行った上で、協議を加速させることになった。
柴山元文科相は「ヒアリングも含めて相当タイトなスケジュールになると思うが、しっかりと事務方にヒアリング対象者も含めて調整をしてもらい、今月末に優先事項について結論を出せるよう協議を進めたい」と話した。
また、維新の金子道仁参院義員は「無償化の対象範囲や金額、便乗値上げ防止の取り組みに加えて、党として公立高校への支援拡充を含めた教育の質の確保も優先的に協議することを相談し、理解していただけたと考えている」と述べ、全国的な教育機会の確保策についても協議事項に加えるよう求めたことを明らかにした。