全日本中学校長会(全日中)の第76回総会が5月15日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた。会長には、東京都大田区立志茂田中学校の青海(あおみ)正校長が再任され、「次期学習指導要領の改訂では、学校からの教育改革を推進すべく、全日中が中学校教育の現状を踏まえた意見をしっかりと伝えていく」と強調した。
再任された青海会長は、全日中の当面の取り組みとして①次期学習指導要領の改訂に係る取り組み②部活動改革に係る取り組み③教師の確保と育成――を示した。
まず、①については▽デジタルの力を活用しながらグローバルに活躍する人材を育成する▽一人一人の子どもの状況に応じた、きめ細やかな教育を充実させる▽学校現場の働き方改革を一層充実する――ことを挙げ、「予測困難な時代の中で、学びの在り方そのものも改革していく必要がある。また、デジタルとリアルの最適な組み合わせによる、教育の新しい授業スタイルの展開は必須だ。これまで以上に柔軟な発想で、複雑かつ多様な課題に対応することが必要」と強調した。
さらに「次期学習指導要領の改訂にあたっては、学校からの教育改革を推進すべく、私たち全日中が中学校教育の現状を踏まえた意見をしっかりと伝えていく」と力を込めた。
次に②について、「部活動の地域展開は、急激な少子化が進む中においても、将来にわたって放課後や休日の生徒の心の居場所、継続的にスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を保障することが、主体の目的」と説明。
「当事者である生徒を中心に考え、地理的要因や障害の有無などに関わらず、生徒が希望する活動を主体的に選択できる環境の整備を図ることが大切だ。今後は学校の働き方改革の実装とともに、学校部活動の教育的意義を失うことなく、実施主体を学校から地域へ移し、地域全体で関係者が連携して支えることが重要」と述べた。
③については、「これまでもこれからも、教師は公教育の要。令和の日本型学校教育の実現という目標のもと、学びに関する高度専門職としての教師には、新たな学びを展開できる実践的指導力を発揮することや、高度化・複雑化する教育課題に的確に対応していくことが期待されている」と強調。
教師に求められる役割について、「子どもたちの主体的な学びへの効果的な支援・伴走へと転換していく。また、社会の変化や学習環境の進化に伴う新たな学びの実装への対応が求められている。こうした使命を果たすためには、質の高い人材を十分に確保し、育成していくことが重要だ」と述べた。
総会では、2025年度の活動方針や予算などの議案が承認され、▽同会の組織と機能を充実させ、活動の活性化を図る▽確かな学力の定着、豊かな心と健やかな身体を育むための「カリキュラム・マネジメント」に努める▽学校の自主性・自律性の確立に努め、家庭や地域社会に信頼される学校づくりを進める▽多様な教育活動を推進するための教育諸条件の整備・充実を期する▽職責に見合った待遇改善の実現を期する――の5つの重点に基づき、運営していくとした。