学校医確保や負担軽減が課題 保健管理の検討会が初会合

学校医確保や負担軽減が課題 保健管理の検討会が初会合
学校の保健管理について議論を始めた調査検討会の初会合=オンラインで取材
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 学校医などの確保や教員の負担軽減などの課題を踏まえ、文部科学省は今後の学校の保健管理についての調査検討会を立ち上げ、5月19日に初会合を開いた。今後、関係者へのヒアリングなども行いながら、学校での健康診断などについて、持続可能な実施方法を模索していく。

 健康診断はどの学年でも新年度が始まってから6月30日までに実施しなければならないとされているが、その項目は多岐にわたり、働き方改革の観点から、養護教諭をはじめとする学校現場の負担軽減が必要になっている。また、2024年度の学校基本調査によると、公立小学校の1校当たりの学校医は2.82人だが、都道府県によってばらつきがあり、地域によっては学校医を募集しても応募がないなど、確保が難しくなっている状況がある。

 こうした課題を受け、検討会では、持続可能な健康診断の実施方法や保健管理を担う養護教諭や学校医などの負担軽減を議論。児童生徒のプライバシーに配慮した健康診断の適切な実施方法についても検討する。

 初会合では、座長に髙田礼子聖マリアンナ医科大学予防医学主任教授が選出され、論点について委員間での意見交換が行われた。

 遠藤伸子委員(女子栄養大学栄養学部教授)は「健康診断に加えて、健康観察の活用や実施方法についても課題があると認識している」と、学級担任が毎朝実施している健康観察についても論点に加えるべきだと提案。従来の呼名式では他の児童生徒の前で体調不良を申告しにくいことや、ICTで児童生徒が心身の健康状態を入力し、担任や養護教諭がチェックできる仕組みなどに言及した。

 明神大也委員(浜松医科大学健康社会医学講座准教授)は、人口減少で地域医療を支える医療機関を維持することが難しくなっていると指摘。「医療機関がなくなると学校医や学校薬剤師の確保はより困難になり、悪循環になると感じている。課題山積しているが、何とか打開できるような検討会に」と期待を寄せた。

 弓倉整委員(日本学校保健会専務理事)は、健康診断における児童生徒のプライバシーへの配慮に関して、脱衣で行うことに対し、保護者や児童生徒から懸念の声が上がった結果、学校によってやり方が異なったり、健康診断の精度が低くなってしまったりしている問題を挙げ、「やはりきちんと議論していただいた方がよい」と要望した。

 検討会では今後、医療関係者や学校関係者、保護者などにヒアリングを実施しながら、各論点を掘り下げていく。

 

【キーワード】

健康診断 学校では、児童生徒の疾病をスクリーニングし、健康状態を把握することや健康教育に役立てる目的で、どの学年でも新年度になると原則として6月30日までに健康診断を行わなければならないとされている。身長や体重、尿、視力、聴力、歯科など、項目は多岐にわたる。

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