滋賀県の三日月大造知事は5月20日、三原じゅん子こども政策担当相や金城泰邦文部科学大臣政務官などに対して、2026年度に向けた政策提案・要望書を提出した。文部科学省には、中学校部活動の「地域連携・地域展開」(地域移行)への支援拡充や日本語教育支援の充実、学びの機会と居場所を保障する体制の充実などを求め、こども家庭庁には、子どもの権利が守られる社会づくりのための施策展開などを提案した。
全国知事会で子ども・子育て政策推進本部長を務めている三日月知事。三原担当相との面会では、子どもの権利に関わる提案に加えて、幼児教育・保育の充実、地域からのジェンダー平等の推進の3点に言及した。滋賀県では今年3月に「滋賀県子ども基本条例」が制定され、10月には「滋賀県子どもの権利委員会」が設置される予定。子どもの権利に関わる相談窓口の整備、子どもを権利侵害から守る個別救済などの役割を担う。
要望書提出後、報道各社の取材に応じた三日月知事によると、「子どもの権利委員会新設などの新たな取り組みについて、県としては試行錯誤しながら進めることになる。県も頑張るので、国として、子どもの権利が守られる社会づくりへの普及啓発、事例収集と提供をお願いしたい」と要望した知事に対し、三原担当相は「社会全体で理解を増進させていくため、周知啓発を図っていくことが大事だ」と応じ、日本ユニセフ協会と共同で進めている「こどものけんりプロジェクト」や、「こども若者★いけんぷらす」といったこども家庭庁の取り組みを例に挙げた。子どもの権利委員会による救済の仕組みについても「滋賀県に負けないよう国としてもやっていきたい」と関心を示したという。
こども家庭庁に対しては、他に、全国一律の子どもの医療費助成制度の創設、困難な状況にある子ども・若者への支援の充実、障害者の地域生活支援のための基盤整備の充実といった施策も要望している。
一方、文科省に対して三日月知事は、部活動の地域連携・地域展開について、取り組み推進に向けた環境整備や制度の確立を求めた。具体的には、部活動指導者の人材確保のためのインセンティブ設定や弾力的制度運用、地域コーディネーター配置といった施策での十分な財政措置が必要としている。
また、学びの機会と居場所の保障については、教育支援センターの整備・充実、不登校支援の専門人材の確保と体制の充実、多様な学びや居場所の充実に向け、必要な予算確保、財政措置を求めた。フリースクールなどの民間施設で学習する不登校児童生徒の活動を保障するため、民間施設への支援の考え方を整理した上で、全国一律の補助制度創設が必要と提言している。