STEM(理系)分野のジェンダーギャップの解消に向けた活動を展開している山田進太郎D&I財団は5月21日、女子中高生を対象にITなどの仕事について知ってもらう「Girls Meet STEM」の取り組みに協力する企業が一堂に会する、「Girls Meet STEM Summit」を都内で開いた。「Girls Meet STEM」は今年度、さらに規模を拡大し、学校単位で参加できるプログラムなどもスタートしており、昨年度にオフィスツアーや仕事体験のイベントを開いた企業が、女子中高生に関心を持ってもらうためのノウハウを共有した。
「Girls Meet STEM」は、進路で文理選択をする前の中高生年代に着目し、IT分野をはじめとする理工系の職業に就いている女性のロールモデルと出会うことで、理系への進学に関心を持ってもらおうと昨年度から始まった。賛同する企業や大学などが体験型のプログラムなどを提供する。昨年度はオンラインを含め1800人を超える参加があった。
今年度は112企業・機関、31大学、8高等専門学校がプログラムを提供する予定で、1万人規模の受け入れを見込む。2028年度には、全都道府県で開催し、7万人の参加を目標に掲げている。
この日開かれたサミットには、「Girls Meet STEM」に協力している企業などの関係者約100人が出席。山田進太郎代表理事は「日本はSTEM分野のジェンダーギャップがまだまだ大きく、全然解消されていない。本日は皆さんと一つ一つのきっかけをつくって、社会全体で取り組んでいきたい」と趣旨を説明した。
パネルディスカッションでは、実際に「Girls Meet STEM」を実施した企業の社員が登壇し、活動報告とともに工夫や課題を共有した。
東京都と兵庫県で「Girls Meet STEM」を開いた三菱電機。同社人財統括部グローバル人財部DE&I推進室室長の小川薫さんは「1回目のちょっとした反省点として、難しい技術の話をし過ぎてしまって、ハードルを上げてしまったようだ。2回目はもう少し身近な話題として、例えば勉強の話や、働くことってどういうことか、技術の仕事はどんなものかなど、目線をしっかり合わせることを意識したら、満足度が上がった」とアドバイスした。
京セラ総務人事本部ダイバーシティ推進室DEI推進課の森麻里子さんは「理系の女性社員はそこまで多くないので、こうしたイベントをすると、社内にどういう女性の理系人材がいるのか発掘することにもつながる。その人の話を聞くことで、女性の理系人材の活躍を支援するヒントにもなる」と、企業にもメリットがあることを強調した。
同財団の担当者は「今年度は学校単位で参加できる『Girls Meet STEM for School』も始める。東京都をはじめとする自治体と連携して広報にも力を入れるので、学校でぜひ活用してほしい」と呼び掛ける。
【キーワード】
ジェンダーギャップ 教育を含め、男女の違いによって生じるさまざまな格差。スイスの非営利団体「世界経済フォーラム」が2024年6月12日に公表したジェンダー・ギャップ指数によると、日本は146カ国中118位だった。
STEAM教育 さまざまな理数分野の学びと創造性を育む学びを横断する探究型・問題解決型の教育活動。科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)のSTEMに、芸術(Art)またはリベラルアーツのAの分野が加わった。
【訂正】2段落目の「延べ1800人」とあったのは「1800人」の誤りでした。6段落目の「東京都と鹿児島県」とあったのは「東京都と兵庫県」の誤りでした。訂正し、お詫びします。