給特法改正案を巡る参院文教科学委員会の審議が5月22日から始まり、与野党の9人が質問に立った。この中で、教員の時間外在校等時間を月30時間程度に縮減するための授業時数の削減に向けて、阿部俊子文科相は「特に持ち授業時数が多い小学校について軽減を図る必要があると考えている」と述べ、教科担任制の拡充などを通して小学校から削減を進めたいとの考えを示した。
給特法改正案は21日から参院で審議入りし、22日から文科委員会での質疑が始まった。この中で古賀千景議員(立憲)は、衆院による修正で、教員の時間外在校等時間を月30時間程度に削減する目標と、実現に向けて7つの措置を講ずることが盛り込まれたことをどう受け止めるかについて阿部文科相に質問した。
これに対して阿部文科相は、受け止めへの回答は控えるとした上で、「時間外在校等時間を縮減するため、業務の役割分担の見直しなど、さまざまな施策を総動員する必要があると考えている。各教育委員会で働き方改革をさらに進めるための総合的な取り組みが実施されるよう、修正案を踏まえて必要な取り組みをしっかり進めていく」と答えた。
また、目標削減に向けた7つの措置のうち教員1人当たりの授業時数の削減に向けては、「特に持ち授業時数が多い小学校について軽減を図る必要があると考えている。このため小学校の教科担任制拡充に関わる定数改善を計画的に推進しており、引き続き学校の指導体制の充実強化に努めてまいりたい」と述べ、教科担任制の拡充を通した授業時数削減を進める考えを示した。
また、附則に記された項目以外の措置として、文部科学省の望月禎初等中等教育局長は「校務支援システムがほぼ整備され、次世代のシステムも模索しているところであり、校務DXによる効率化が考えられる」と述べ、システム導入による業務効率化を通して時間外在校等時間の削減を図る考えを示した。
下野六太議員(公明)は、同法案で全ての教育委員会に教員の業務量を適切に管理する計画の策定・公表を義務付けることに関して、「小規模な市町村では負担感があると思う。文科省や都道府県教委が親身に相談する伴走支援が必要ではないか」と質問した。
これについて望月局長は「市町村教委では作成に苦労することも考えられるので、働き方改革の好事例の説明や相談を受ける機会を設けて伴走型支援をしたい」と述べ、計画策定にあたってサポートに努める考えを示した。
また、衆院による修正で、2026年度から公立中学校の35人学級の実現が盛り込まれたことを巡り、伊藤孝恵議員(国民)が「すでに一部の教育委員会で来年度に向けた教員採用試験が始まっている。35人学級を26年度に一度に実現するのか、中学校1年生から学年進行により段階的に実現するのか、政府としての方針を可及的速やかに示す必要があるのではないか」と質問した。
これに対して望月局長は「40人学級の時も学年進行によって計画的に自治体が採用した。われわれとしては、これまでの40人学級にした時の経緯を含めて、やはり学年進行でしっかり計画的に採用できるよう見通しを持って自治体に周知したいと思う」と答えた。