全連小総会で松原新会長 「教員の余白生かすのは校長」

全連小総会で松原新会長 「教員の余白生かすのは校長」
全連小総会であいさつする松原新会長=撮影:徳住亜希
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 全国連合小学校長会(全連小)の第77回総会が5月23日、都内で開かれ、全国から約300人の校長が参加した。新たに会長に就任した松原修会長(東京都武蔵野市立第二小学校長)はあいさつの中で、中教審で次期学習指導要領の策定に向けた議論が進んでいることに触れて、「教員に余白を生み出し、各学校が特色ある教育課程を編成できるよう裁量を拡大することが議論されているが、その余白をどのように生かすかは、まさに校長のビジョンとリーダーシップにかかっている」と強調。校長として学び続けながら、地域全体の教育力の向上につなげてほしいと呼び掛けた。

 松原会長は開会式のあいさつで、初めに今月8日、都内の小学校に男2人が押し入り教職員が暴行を受けた事件に触れて、「いかなる理由であれ、暴力で主張を通そうとする行為は断じて許されない。子どもたちの安全安心の確保はもちろん、教職員が誇りを持ち、安心して教育に専念できる環境を整えることは極めて重要であり、通常の保護者対応、いわゆるカスタマーハラスメント、そして明らかな犯罪行為の3つを峻別し、警察・学校・教育委員会が連携しながら対応や議論を進めていく必要がある」と述べ、安全対策の強化の必要性を強調した。

 また、中教審の教育課程企画特別部会委員も務める松原会長は、次期学習指導要領の策定に向けた議論が進んでいることについて、「例えば教員に余白を生み出し、各学校が特色ある教育課程を編成できるよう裁量を拡大することも議論されているが、その余白をどのように生かすかは、まさに校長のビジョンとリーダーシップにかかっている。全連小での学びを個人の成長にとどめず、地域全体の教育力向上へとつなげてほしい」と呼び掛けた。

 さらに教師の処遇改善などを目指す給特法改正案が衆院で可決されたことについて、「大きな改革が質の高い教員の確保に資するよう、今後の動向を注視する必要がある。教員の働き方改革や処遇改善だけでなく、高度専門職としての教師の在り方について国民の関心が高まっており、今こそ各学校が積み重ねてきた粘り強い実践や挑戦を保護者・地域社会に積極的に発信し、学校を核とした信頼に基づく確かな共同体制を築く絶好の機会だ」と述べ、リーダーとして学校を導いてほしいと訴えた。

 総会ではこのほか、今年度の活動方針などが承認されたのに続いて、宣言が決議された。宣言文では、産業システムの急速な変化や少子高齢化が進む中、子ども一人一人の可能性を開花させる教育の実現が求められるとして、校長がリーダーシップを発揮して学校経営のさらなる充実に努めなければならないと強調している。

 その上で全連小として総力を結集し、▽創意ある教育活動と信頼される学校経営の充実▽社会に開かれた教育課程の編成・実施・評価・改善▽いじめ・不登校等の解消を図る生徒指導体制の充実▽学校における働き方改革の実現▽管理職・教職員の人的条件整備や処遇の改善、教員を志す優秀な人材の確保――などの実現に取り組むことが示された。

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