交付金の予算減で学校整備に影響 予算確保目指すと文科相

交付金の予算減で学校整備に影響 予算確保目指すと文科相
今年度の学校施設環境改善交付金事業について説明する阿部文科相=撮影:藤井孝良
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 国の学校施設環境改善交付金事業の今年度当初予算が前年度よりも大幅な減額となったために、全国各地の自治体の学校施設整備計画に影響が生じている問題について、阿部俊子文科相は5月30日の閣議後会見で「今後あらゆる機会を捉えて、必要な予算確保をしっかり目指していきたい」と話した。同27日に全国都道府県教育長協議会・全国都道府県教育委員協議会が出した緊急要望で、文部科学省から事前に十分な説明がなかった点を指摘されたことについては「真摯(しんし)に受け止めるべきだと私も認識している」と答え、自治体に寄り添った対応に努めていく考えを示した。

 学校施設の老朽化対策や防災機能の強化などを対象としている同事業は、2024年度当初予算で約177億円が計上されていたが、25年度当初予算では62億円と大幅に減少した。これにより学校施設の整備計画事業が採択保留となるケースが相次ぎ、今年度中の整備を見送らざるを得ない自治体が出てくるなど、計画的な学校施設整備に支障が生じているという。

 阿部文科相は25年度の同事業について、「各地方自治体からの需要の高まりも受けて、耐震化など建物の安全に直結する事業や、小中学校の新増築などの基本的な教育の場の確保を図るための事業などについて、実施時期なども鑑みて優先すべきと判断したものから予算の範囲内で採択をしている」と説明。

 「文科省としては、各自治体の要望や実情も踏まえ、今後あらゆる機会を捉えて、必要な予算確保をしっかり目指していきたい」と強調した。

 協議会の緊急要望では、こうした予算の大幅減の影響について文科省から事前に十分な説明がなく、多くの事業が採択保留となったことは遺憾だとし、自治体が安心して施設整備を進められなくなることを危惧している。

 この点について阿部文科相は「本交付金の採択にあたっては、あらかじめ事業募集の際に、各自治体に対して、予算の範囲で優先的に採択するという事業の方針を示すとともに、各種の説明会においても、厳しい予算状況について説明をしているところではあるが、この度いただいたご意見については、文科省として真摯に受け止めるべきだと私も認識している。文科省として、今後の採択にあたり、これまで以上に地方自治体に寄り添った対応にしっかり努めていきたい」と話した。

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