GIGA端末の処分時のデータ消去方法 24教委が適正と言えず

GIGA端末の処分時のデータ消去方法 24教委が適正と言えず
iStock.com/Atomic62 Studio
【協賛企画】
広 告

 GIGAスクール構想で導入された端末の処分に際して、適正と言えない方法でのデータ消去を少なくとも24の教育委員会が行っていたことが6月2日、児童生徒のデータプライバシー協会の実態調査で明らかとなった。多くの自治体で専用ソフトウェアの利用など、安全性の高いデータ消去の方法が十分に周知されておらず、子どもたちの個人情報などの漏えいリスクが残ったまま処分されている可能性がある。

 調査は今年4~5月に、1787ある都道府県・市区町村教委にアンケートへの協力を依頼。そのうち104教委から回答があった。

 端末のデータ消去にあたって、適正とは言えない初期化・リセットや磁気消去の方法を取っているのは23.0%に上った。初期化・リセットではデータが確実に消去されたことを1台ずつ証明する手段がなく、データが端末の中に残っていると、復元ソフトなどで読み出されてしまう懸念が残るという。

 20.2%あった物理破壊の方法であっても、記憶装置のSSDを2ミリ以下に粉砕しないと完全にデータは消去できないとされている。

 一方で、最も安全性が高いとされる専用ソフトウェアを使ったデータ消去を採用していたのは、12.5%に過ぎなかった(=グラフ)。

GIGA端末のデータ消去の方法
GIGA端末のデータ消去の方法

 専用ソフトウェアによる消去では、端末ごとの消去ログやデータ消去証明書の発行ができるが、37.5%は消去証明書を委託事業者から取得するものの、資産管理番号が区別できない証明書であるために、1台ごとの消去ログが取れない形でデータ消去の履行確認をしていた。

 データ消去作業を外部委託する予算を確保しているのは28.8%、データ消去を内部で行うために必要な職員・設備・予算を確保しているのは9.6%にとどまり、処分費用の予算確保も課題として浮かび上がった。

 

【キーワード】

GIGAスクール構想 全国の小中学生などに1人1台のコンピューターを導入し、学校などに高速ネットワークを整備することで、学校でのICT利活用を加速させ、学びを変えていこうとする文部科学省の施策。GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略。

広 告
広 告