高校無償化「外国人」「所得制限撤廃」に懸念も 自民党会議

高校無償化「外国人」「所得制限撤廃」に懸念も 自民党会議
高校無償化を巡る3党協議の内容を、自民党の合同会議で報告する柴山元文科相=撮影:山田博史
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 高校無償化を巡り自民党、公明党、日本維新の会の実務者協議で大枠合意に達したことを受けて、自民党の教育・人材力強化調査会と文部科学部会の合同会議が6月6日、党本部で開かれた。柴山昌彦元文科相が3党で合意した論点整理案を報告したのに対し、出席した議員からは「所得制限撤廃はこれまでの文教政策と整合性が合わない」「外国人は原則として対象にすべきでないのではないか」などと懸念を示す意見が相次いだ。ただし、合意した文書の修正を求める意見はなく、党の政調全体会議などの議論を経て、今月中旬にまとめられる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)への反映を目指すことになった。

 高校無償化を巡っては、2026年度から私立高校の授業料について所得制限を撤廃して、45万7000円を上限に就学支援金を支給する方針が示されており、3党の実務者協議で無償化の対象範囲などについて議論を続け、今月4日、論点整理案がまとめられた。

 論点整理案では、外国籍の生徒については高所得世帯や低中所得世帯、留学生など状況がさまざまであることについて、検討が必要であると明記されたのをはじめ、所得制限の撤廃が教育格差の拡大につながらないよう、国民が納得できる対応を取る方向性などが示された。さらに公立学校への支援に向けて、国が「高校教育改革に関するグランドデザイン(仮称)」をつくった上で、都道府県が「高校教育改革実行計画」を作成し、環境整備に向けて財政支援する仕組みづくりも盛り込まれた。

 合同会議では、3党協議に参加した柴山元文科相が合意した論点整理案の内容を説明した後、出席した議員が相次いで発言した。この中で所得制限の撤廃については、「これまでの党の文教政策と整合性が合わず、丁寧で慎重な議論が必要だ」と懸念を示す意見が出た一方、「それほど意識する必要がないのではないか」と肯定する声もあったという。

 また、外国人の生徒を無償化の対象とすることについては、「日本人が海外で就学支援を受けている実態がないのであれば、原則として支給しない方向で進めてほしい」などと慎重な対応を求める意見が相次いだという。

 一方、高校教育の改革を盛り込んだ点については評価する声があったが、「財政支援をする中で、地方負担は求めないでほしい」「地方の学校を守るための加配など、制度面の支援も考えてほしい」といった要望も寄せられたという。

 柴山元文科相は「さまざまな意見をいただいたが、文言の修正を求める声はなかったと理解している。来週の党の政調全体会議を経て、骨太の方針に向けたプロセスを進めることになる」と述べた上で、「今回は大枠の論点整理なので、今後は予算化に向けて詳細な内容を詰めていく必要がある」と強調し、引き続き3党の枠組みや党内での議論を進める考えを示した。

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