将来の進路考えるきっかけに 三重県桑名市で「複業先生」が授業

将来の進路考えるきっかけに 三重県桑名市で「複業先生」が授業
メモを取るなどしながら、和田氏が語る宇宙の話に聞き入る子どもたち=LX DESIGN提供
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 子どもたちの将来の進路や生き方を考えるきっかけに――。三重県桑名市と学校向け外部人材紹介サービス「複業先生」を運営する「LX DESIGN」は、外部人材を活用した教員の働き方改革に関する連携協定を2024年9月に結んだ。昨年度の実証期間を経て、今年度から本格始動しており、その第一弾となる「複業先生」を活用した出前授業がこのほど、同市立大成小学校(和氣幸恵校長、児童489人)で行われた。この日は宇宙カルチャー推進協会理事の和田直樹氏が登壇し、同校の5年生に宇宙ステーションでの生活など、宇宙の魅力や不思議を伝えた。

 桑名市とLX DESIGNは、連携協定に基づき、子どもたちが多様な職業観や人生観に触れ、将来の進路や生き方について主体的に考えるきっかけとなる授業を、市内小中学校で行っていくとしている。

 この日は、同校からの「宇宙に関する授業がしたい」とのリクエストを受け、同社の「複業先生」に登録している和田氏による出前授業が行われた。

 和田氏は、宇宙開発における大型衛星開発エンジニアとして経験を重ね、20年ほど前からは全国の教育現場などで講演活動も行っている。冒頭、「エンジニアをやってきて、驚くこともたくさんあった。実際に宇宙ステーションの中がどんなところなのか、みんなに紹介しようと思います」と語り掛けると、子どもたちからは大きな歓声が上がった。

 現在、宇宙飛行士は大体6カ月程度、宇宙に滞在することが多いという。また、宇宙飛行士が滞在する宇宙ステーションは、地上から高度約400キロ上空にある。国際宇宙ステーションは、各国のモジュールがドッキングすることで構成されており、日本が作った宇宙ステーション「きぼう」では、日々、さまざまな実験が行われている。

 「『きぼう』は、食べる場所でも、寝る場所でもない。学校で言うと、理科の実験室のようなところ」と和田氏が説明すると、子どもたちはイメージが付いたよう。「宇宙ステーションでさまざまな実験をすることで、地球では得られなかったような薬ができるようになってきている。今後も宇宙で実験することが大事だ」と話した。

 また、現在は「アルテミス計画」という次の構想が進んでおり、月の周回軌道に宇宙ステーションを建設する予定や、月面を走れる車の開発なども進んでいることが明かされると、子どもたちは前のめりになって聞き入っていた。

 和田氏への質問タイムでは、子どもたちから次々と手が挙がった。「宇宙に6カ月以上滞在したら、どうなるんですか?」との質問に、和田氏は「宇宙ステーションは無重力なので、いつも浮いていて歩かない。足腰が弱くなるので、宇宙から帰ってきたら何カ月かリハビリするよ」と回答。

 また、「宇宙にはどんな宇宙食がありますか?」との質問に、「日本人宇宙飛行士のための宇宙食も、だいたい60種類ぐらいある。例えば、コンビニのから揚げが宇宙食になっていたりする。普通に一般に買えるものが、宇宙食になっている」と回答すると、子どもたちからは驚きの声が上がった。

 授業後は、子どもたちは和田氏からのお題「宇宙でどんな実験がしてみたいか?」に考えを巡らせ、例えば「リコーダーを吹いてみたい」「動物や植物を育ててみたい」「寝てみたい」など、ユニークなアイデアが上がっていた。

 今後も同市では「複業先生」を活用した授業を、市内の各校で行っていく。

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