思い出の服を循環「アップサイクルファッションショー」 下妻第一高

思い出の服を循環「アップサイクルファッションショー」 下妻第一高
ランウェーでポーズを決める生徒たち=撮影:松井聡美(プライバシー保護のため、写真の一部を加工しています)
【協賛企画】
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 着なくなった服に手を加え、循環させる――。茨城県立下妻第一高校(生井秀一校長、生徒715人)で6月6日、「アップサイクルファッションショー」が行われた。アップサイクルとは、不用品の素材を生かしつつ、新たな価値を加えて生まれ変わらせること。大丸松坂屋百貨店のアップサイクルブランド「reADdress」とコラボレーションし、生徒らがモデル役となり、体育館に設けられたランウェーを笑顔で歩いた。

 国内では年間およそ51万2000トンの服が破棄されるなど、ファッションが与える地球環境への影響は大きい。同校では、実体験を通してアップサイクルについて理解を深めるため、探究活動の一環として昨年度、初めて文化祭でアップサイクルファッションショーを開催。今年も生徒から「やりたい」と声が上がり、実現した。

 今年度のショーは大丸松坂屋百貨店と連携した。同社では昨年度、環境省の支援の下、服の廃棄を減らし、服の寿命を延ばすことなどを目的に「循環プロジェクトroop」を実施。着なくなった服を回収し、デザイナーや服飾学生とともにアップサイクルブランド「reADdress」を立ち上げ、制作してきた。この日は、その中から約80着が貸し出された。

 実行委員の生徒約80人は、定期テストや部活動の合間を縫って、ショーの準備を進めてきた。モデル役の生徒はプロにウオーキングの仕方を教えてもらって練習を重ね、当日のヘアメークもそれぞれの洋服に合わせて生徒が担当。ショーで使うスライドや音楽などの演出、司会も自分たちで行った。

 ショーの冒頭では、全校生徒に向けて、アップサイクルやサスティナブルファッションの意義などがスライドで紹介され、「捨てられるはずだったものから制作する」「元の服より価値が高まる」など、アップサイクルファッションの利点について理解を深めた。

 そしていよいよファッションショーが始まると、着なくなった服からつくられたとは思えないほど華やかで、独創的なデザインのアップサイクルファッションを身にまとった生徒たちがランウェーに登場。それぞれの洋服の良さを引き立てるポーズを思い思いに決めながら、堂々と笑顔でランウェーを歩ききり、会場からは割れんばかりの歓声が上がっていた。

 審査員を務めた大丸松坂屋百貨店の田端竜也さんは、生徒らの姿に「みんな笑顔がすてきで、服が喜んでいた。アップサイクルの洋服は、いろいろな人の思いが詰まっており、それが循環していくのがうれしい」と話した。また、モデルを務めた生徒は「こうした活動がSDGsにつながっていくことを願っている」と力を込めた。

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