「子育て環境日本一」を掲げている京都府。2024年度から、小中学生がまちづくりを疑似体験する「京都版ミニ・ミュンヘン」を通して、これから子育てをする若者と子どもとの交流機会を創出している。西脇隆俊知事はこのほど、こども家庭庁を訪れ、三原じゅん子こども政策担当相に子育て環境整備や少子化対策などに関する政策提案を提出。「子育ては楽しいもの」というイメージを広げることが、少子化対策として重要だと提言している。
ミニ・ミュンヘンは、ドイツ・ミュンヘン市で30年以上続く、子どもたちだけで仮想のまちを運営する取り組み。夏休みの3週間、日本の小中学生に近い年代の7~15歳の子どもが参加し、仕事と学習を経て市民権を獲得した後は好きな仕事をして「ミミュ」という独自通貨を稼ぐ。まちを運営する仕事と遊びを通して社会とのつながりを学ぶ取り組みという。
京都府では24年度、子どもと大学生が交流する5回のワークショップでまちづくりを学び、市長を選挙で選ぶなど準備を進めた上で8月、10月に2回開催した。当日は市民登録をし、ミニ・ミュンヘンと同じように仕事を探して通貨を稼いだり、まちを運営したりした。25年度も実施する。
京都府の調査では、中高生に子育てのイメージ(複数回答可)を尋ねたところ、「大変そう(78%)」「難しそう(62%)」「疲れそう(57%)」というネガティブな回答が上位に並び、「楽しそう(56%)」「人生が充実しそう(38%)」などポジティブな回答を引き離した。「ネガティブなイメージが広がり、必要以上に後ろ向きになっている可能性がある」として、「子育ては楽しいもの」というイメージを広げようと、京都版ミニ・ミュンヘンを始めた経緯がある。
京都版ミニ・ミュンヘンの予算には、24、25年度と年度ごとに申請して地域少子化対策重点推進交付金を活用しているが、「施設整備などのハード面への活用や複数年度の事業を想定しておらず、長期的な取り組みが不可能」と運用上の課題を指摘。26年度の実施に向けて、継続的な取り組みでも同交付金が活用できるよう求めている。