来日中のユニセフのキティ・ファン・デル・ハイデン事務局次長が6月19日、文部科学省を訪れ、阿部俊子文科相を表敬訪問した。キティ事務局次長は日本ユニセフ協会の学校募金活動への協力に感謝を示すとともに、ユニセフが重視している子どものウェルビーイング向上を日本の教育カリキュラムづくりに生かしてほしいなどと述べた。
キティ事務局次長は大臣室で阿部文科相と握手を交わした後、初めに「文科省は70年にわたってユニセフに協力し、日本ユニセフ協会の学校募金活動にも支援していただいている」などと述べ、全国の学校で募金活動に協力していることへの感謝を示した。
これに対して阿部文科相は「世界中の子どもたちの命と健康を守るために、ユニセフが必要な支援を続けていることに心から敬意を表し、学校募金事業の周知をこれからも続けていきたいと思っている」と答えた。
キティ事務局次長と阿部文科相は、約30分間にわたって懇談した。出席者によると、キティ事務局次長は、日本ユニセフ協会がこども家庭庁と共に、子どもの権利啓発キャンペーンとして進める「こどものけんりプロジェクト」で、子どものウェルビーイング向上を重視していることに触れて、「日本で今後、教育カリキュラムをつくっていく上で、子どものウェルビーイング向上や子どもの権利を重視してほしい」と述べたという。
また、教員が子どものウェルビーイング向上への理解を深めることも大切だと述べたほか、ユニセフの専門家がサポートすることもできるなどと、協力する姿勢も示したという。
これに対して阿部文科相は、2023年に閣議決定された教育振興基本計画の中で、子どもたちのウェルビーイング向上を強調していることに触れて、文科省としても重視していることなどを説明したという。
キティ事務局次長はさらに子どものウェルビーイング向上を巡って、最近は教育現場と民間企業との連携が進んでいることを紹介し、一例として音楽配信サービスなどを展開する「Spotify(スポティファイ)」社との連携を挙げ、思い悩んで部屋に閉じこもっている子どもが音楽を聴く中で、メッセージを届ける取り組みも始めているなどと説明した。