入学しない大学にも入学金を納めなければいけない入学金の二重払いの解消を求めている任意団体の「入学金調査プロジェクト」は6月20日、衆議院第二議員会館で武部新(あらた)文科副大臣に対し、入学金の納付期限の延長などを求める要望書を手渡した。プロジェクトでは、入学金を二重払いする構造があることで、受験機会の格差が生じていると問題提起している。
複数の大学を受験していて、先に合格した大学の入学金の納入期限が第1志望の大学の合格発表前に設定されている場合、実際には入学しなくても、入学資格を確保するために入学金を支払わなければならないことがある。
2021年に電子署名でこの問題を訴えたプロジェクトは今年1月、大学生にアンケートを実施。約9割の学生が入学金の二重払いを問題だと感じており、4割近くが実際に受験した際に二重払いを経験していたり、二重払いをしなくて済むような受験を考えたりしていたことが浮き彫りとなった。
超党派の子どもの貧困対策推進議員連盟「教育格差について考えるワーキングチーム」が6月に文部科学省などに出した提言書でも、この入学金の二重払い問題が取り上げられている。
文科省の調査によると23年度、私立大学に入学した学生の入学金は平均で24万806円。同省では各大学で入学料などの初年度納付金や授業料の納付が困難な学生に対し、納付時期の猶予、分納、免除、減免などの弾力的な取り扱いや配慮をするよう求めている。
プロジェクトの要望書では、文科省から入学金の在り方に特化した通知を出すことや、入学金の納入期限を3月末まで延長すること、現行の入学金制度について、使途や金額、納入期限の妥当性などを含めて検証することを要望。4月以降に追加合格や繰り上げ合格などがあり、結果的に入学金の二重払いになるケースもあるとして、規制の必要性を指摘した。
プロジェクトメンバーの五十嵐悠真さんは「通知を検討していただけるのではないかと前向きに捉えている。文科省には納入期限を一定程度後ろ倒しにすることまで踏み込んで大学に指導してほしい。入学金の納入期限は、せめて国立大の合格発表後にすべきだ」と話した。
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学生納付金 私立大学などで、学生が入学して卒業するまでに受ける教育活動に関するさまざまな経費に充てられる費用として、徴収されるもの。入学金や授業料、施設設備費、実験実習料などがある。