教員ら子どもと接する仕事に就く人の特定性犯罪歴を確認する日本版DBS制度を創設する「こども性暴力防止法」の施行に向け、三原じゅん子こども政策担当相は6月24日の閣議後会見で、同法施行準備委員会の初会合を26日に開催することを明らかにした。準備委員会はこども家庭庁をはじめ関係省庁担当者で構成される。26日の委員会では、法施行に向けた検討状況を確認し、施行への基本方針を策定する予定。
同法施行日と日本版DBSの運用開始については、こども家庭庁が2026年12月25日とする案を示している。準備委員会はこども家庭庁のほか、内閣官房、内閣府、警察庁、個人情報保護委員会、デジタル庁、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚労省、経産省の局長級職員で構成され、法施行に向けた関係機関の協議を進める。
準備委員会は前年度の関係府省庁連絡会議が改組された組織。一方、4月から有識者・関係者による同法施行準備検討会でガイドライン策定に向けた議論を進めている。
三原担当相は「有識者会議(準備検討会)の検討と並行して、法律の施行に向けて関係府省庁が連携し、必要な意思決定を行い、政府として万全の態勢を構築していく」と述べた。今後、関係団体のヒアリングを行った上で秋ごろまでにガイドラインの素案となる中間とりまとめを公表する予定という。
このほか、22日に閉会した通常国会を振り返り、成立した改正児童福祉法や男女共同参画機構法などについて触れた。人工知能(AI)に特化した初の法律「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI新法)の附帯決議では、AI技術を悪用した偽画像「ディープフェイク」、とりわけ児童の画像を使ったものに対して厳正な取り締まりなど対策強化を求めており、三原担当相は「法制上の対応の必要の有無など、所管省庁への検討要請を含めて司令塔としての役割を果たしていきたい」との意気込みを示した。
三原担当相は「青少年が性的ディープフェイクに巻き込まれることなく、安全にインターネットを利用できる環境を整備することは重要。こども家庭庁では有識者・関係省庁によるワーキンググループで議論している。特に生成AI技術を悪用した児童の性的ディープフェイクについては、卒アル問題ともいわれているように、誰でも簡単に被害者にも加害者にもなってしまう」と懸念を示した。
卒業アルバムの顔写真などを悪用して、生成AIで性的な画像に作り変えたり、組み合わせたりする偽画像がSNSで拡散するといった被害が現実化している一方、規制の実効性が不明瞭という課題がある点などを指摘。「引き続き丁寧な議論を行い、生成AI技術を悪用した児童の性的ディープフェイクのみならず、青少年の保護の在り方全般について課題と論点を整理した上で、こども家庭庁の役割を果たしていきたい」と強調した。