避難所指定の公立学校、冷房機器を85.5%が確保 文科省調査

避難所指定の公立学校、冷房機器を85.5%が確保 文科省調査
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 災害時に避難所となる公立学校のうち、防災設備として冷房機器を確保している学校は85.5%に上り、2022年12月の前回調査から20.6ポイント増えたことが6月25日、文部科学省が公表した「避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査結果」で分かった。一方、災害時を想定し、学校施設の利用方針を策定している学校は70.5%で、前回調査に比べ1.6ポイント増の微増にとどまった。

 調査は17年、19年、22年に続き4回目。今回は全国の公立小中高校や特別支援学校などと教育委員会を対象に、避難所となる学校施設の防災設備について、24年11月1日時点の「利用方針の策定状況」「防災設備の確保状況」を取りまとめた。

 調査結果によれば、避難所に指定されている学校数は2万9529校で全体の91.7%に上り、前回調査から0.2ポイント微増した。

 避難所となる学校で確保している防災設備は、暖房機器が86.3%(前回調査に比べ7ポイント増)でトップ。次いで▽冷房機器 85.5%(同20.6ポイント増)▽通信設備 85.3%(同2.4ポイント増)▽飲料水の確保対策 83.4%(同2.6ポイント増)▽ガス設備 78.2%(同4.9ポイント増)▽非常用発電機等 77.2%(同4.0ポイント増)▽断水時のトイレ対策 75.1%(同1.5ポイント増)▽入浴・洗濯等生活用水 36.7%(初調査)――となり、調査した項目でおおむね改善が見られ、とりわけ冷房機器の増加が目立った。

 一方、避難所に指定された公立小中学校の体育館に目を向けると、課題は依然残る。文科省が実施した「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況」の調査で、空調設置率は25年5月1日時点で22.7%にとどまっていた。

 また調査では、地域住民の円滑な誘導や避難所の効果的活用に向け、災害時に校舎や運動場、校庭などをどのように利用するかを定めた方針・計画の策定状況も調べた。その結果、学校施設の利用方針を策定済みの学校は2万827校で、全体の70.5%(同1.6ポイント増)だった。

 文科省は25年度予算で、バリアフリー補助を含む公立学校施設の整備に691億円を計上している。今回の調査結果を踏まえ、同省では学校施設の防災強化を一層推進するよう通知を出すとともに、防災機能の強化に向け財政支援を行うなど、地方公共団体の取り組みを支援していくとしている。

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