「このニュース、どう思う?」――。日々報道される教育ニュースについて、学校現場の教員目線で語るコラム「職員室の立ち話」。大学における教員養成の改革を議論している中教審の教員養成部会では、教職課程の単位数を現行の一種免許の6割程度にすることが提案されました。柔軟なカリキュラムの設定や、履修負担の軽減は、果たして教員になる人を増やすことにつながるのか。教員2年目の若手現職教員に話を聞きました。
今日の話題
教職の単位数を現行一種免許の6割に 日本教育大学協会会長が提案
今日はこの人と立ち話
公立学校2年目教諭
このニュースでは、教員免許の取得に必要な単位数を二種免許相当の単位数に減らすことや、各大学が特色ある科目を設定できたり、学生が自分の関心に基づいて選択できたりするような柔軟なカリキュラムづくりが検討されていることが書かれていました。
私は学生時代、複数の校種の免許を取ろうとしていたので、必要な単位数がかなり多く、取りたい授業があっても、必修のもの以外を取る余裕はなかったんです。だから、単位数を減らして学生が選択できる自由度が増すことは、とても良い方向性だと思います。
もし学生時代に戻って、自分で授業を選択するなら、ICT教育に関する授業を取ると思います。実際、教員になってから、もっとICTを勉強しておけばよかったと思っているからです。
また、4月1日に勤務校に配属されると、新卒だろうが電話対応や保護者対応が求められます。私も教員になりたての頃に電話対応で失敗したことがあり、教員に必要なビジネスマナーなどが学べる大学の授業があるといいのではないかと感じます。
そして何より、大学時代にもっと学校現場に入って、実践的に学ぶ経験を積みたかったという思いがあります。机上で学ぶことも大切ですが、やはり現場で実際に見たり、経験したりすることで、教員になる上で必要なことが学べるはずです。
どのような形であれ、教育実習以外にも学校現場に入ることが単位として認められるようになれば、実践的に学べるだけでなく、教員になってからのギャップを減らすことにもつながるのではないでしょうか。
一方で、議論の中では「単位数を減らすことで、より多くの学生を教職課程に呼び込みたい」との狙いがあるようでしたが、そこには疑問が浮かびました。履修負担が減れば「教職課程を履修する人」は増えるかもしれませんが、実際に「教員になる人」の増加にはつながらないと思います。
教員免許を取得しても、教員にならない人が増えているのは、「ブラック」だと言われる、学校の働く環境によるものが大きいような気がするのです。
例えば、教員は給特法によって、働いた時間に応じた残業代は支給されません。これは特に私たちの世代にとっては、職業を選ぶ際に大きなデメリットとして映っています。また、中学校の教員からは、地域移行が少しずつ進んでいるものの、まだ土日の部活動の対応もあると聞いています。
プライベートもない、給料面の待遇も良くないという状況のままでは、「教員になるのはやめよう」となる学生が多いままだと思うので、ぜひ待遇面の充実を進めてほしいと思います。