こどもが社会の一員として意見表明するには 都がこども未来会議開催

こどもが社会の一員として意見表明するには 都がこども未来会議開催
こども未来会議であいさつする小池都知事=撮影:松井聡美
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 こどもが社会の一員として意見表明をするための機会をどう創出するかをテーマに、東京都は7月3日、第14回となる「こども未来会議」を都庁で開催した。中高生が都知事への政策提案を行った「中高生政策決定参画プロジェクト」など、都の活動が報告され、小池百合子都知事は「こどもたちの意見が『尊重されている』『受け入れられている』ことが、こどもたちの安心安全につながる」と述べた。

 同会議は、こどもが笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向け、海外などの先進事例も踏まえ、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うことを目的として、2020年に設置された。これまで「学校の居心地と生徒のメンタルヘルスとの関係」「ありのままの多様なこどもを育む学び・居場所のあり方」など、さまざまなテーマで委員らが意見を交わしてきた。

 この日は「こどもが社会の一員として意見表明するための機会の創出」をテーマに、これまでの都の取り組みが報告された。

 都では昨年度、年代別にモニターを募集し、各施策に関するテーマについてウェブアンケートを行う「こども都庁モニター」や、こどもの生の声やニーズを把握する「こどもワークショップ」を実施。そうした声を生かして中高生に特化した「中高生Webサイト(仮称)」を制作するなど、施策への反映につなげた。

 また、都のこども政策について、当事者であるこども自らが議論し、都知事へ政策提案する「中高生政策決定参画プロジェクト」も実施。12人の中高生が約半年かけて10回のグループワークなどを実施して議論を重ね、「中高生と企業をつなぐ職業体験に関する総合サイトを作りたい」と知事に提案。25年度の予算に反映され、職業体験を希望する中高生と企業・団体とをマッチングする「職業体験プラットフォーム(仮称)」がつくられた。

 声を上げにくいこどもからの意見聴取としては、児童館やプレーパーク、こども食堂など、こどもの居場所に足を運んでのヒアリングや、小・中・高校の児童生徒への出前授業を実施。さらに今年度は、特別支援学校での出前授業の実施を予定している。

 都の担当者は「今後もこどもの声を聞くだけでなく、こども施策に生かしていく」と強調した。

 また、一般財団法人ピースコミュニケーション財団代表理事の一木広治氏からは、同団体が行っている「国連を支える世界こども未来会議」の活動が報告され、「現在、グローバルな環境下では日本の存在感は下がっている。世界都市である東京都がさまざまな主体と連携し、こどもの意見表明の機会を創出したり、世界に通用する人材の育成を推進したりしてほしい」と要望した。

 こうした報告を受け、委員からは「意見を言うことを諦めているこどももいる。何度もこどもたちと会うことなどで信頼関係を築いていくことが、こどもが意見を言えるようになるためには必要」「こどもたちは、意見が届くという実感がないと言わない。小さくてもいいので、意見が届いたことを実感できる取り組みを積み重ねることで、こどもが意見を言う土壌ができてくるのではないか。多様な意見を聴くには、日常の雑談の中から声を拾っていくことも重要」といった意見が出された。

 小池都知事は「全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持ち、伸び伸びと健やかに育っていく社会をつくっていきたい。そのためには声を上げにくいこどもも含めて、より多くのこどもたちが社会の一員として意見表明できる機会を創出していくことが重要になる。こどもたちの意見が『尊重されている』『受け入れられている』ことが、こどもたちの安心安全につながり、当事者意識を高めることにもつながっていく」と述べ、今後の取り組みに意欲を示した。

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