高校無償化へ「公私間、地域間格差是正を」 私学関係団体が院内集会

高校無償化へ「公私間、地域間格差是正を」 私学関係団体が院内集会
私立高校の無償化に向けて公私間格差の是正などを訴えた院内集会=撮影:山田博史
【協賛企画】
広 告

 来年度からの私立高校無償化に向けた議論が進む中、全国の私立高校に通う生徒の保護者や教職員らでつくる「全国私学助成をすすめる会」の院内集会が7月4日、参議院議員会館で開かれた。集会では、私立高校の保護者負担に地域差が大きい上、私立高校生1人当たりの公費支出分は公立の約3割にとどまっているとして、私立高校無償化を着実に実施するとともに、私立学校への経常費助成を大幅に増額することが必要との訴えが相次いだ。

 集会には全国から保護者や教職員ら約200人が参加した。初めに同会の山口直之共同代表は「6月に閣議決定された政府の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)で、高校無償化が2026年度予算の編成過程で成案を得て実現するとされたが、予算確保などはこれからであり、私たちの声を文部科学省や国会議員に届けることが大変重要だ」と呼び掛けた。

 また、私立高校の世帯負担は入学金や施設整備費などを含めると地域間格差が大きいことや、22年度の数値で、公立高校生1人当たりの公費支出が112万円に上るのに対し、私学経常費助成は1人当たり約35万円にとどまっていると指摘。

 「授業料無償化に加えて私学経常費助成の増額があれば、是正につながる。今日を出発点に改めて活動に取り組みたい」と述べ、私立高校の授業料無償化の着実な実施と私学への助成の増額を訴えた。

 会場には与野党7人の国会議員が駆け付け、私学への支援に言及した。高校無償化を巡る自民、公明、日本維新の会の3党協議で実務者の責任者を務めた自民党の柴山昌彦元文科相は「私立高校の授業料無償化には約4000億円程度の予算が必要だが、骨太の方針に3党協議の文言を引用する形で、来年度から実施することに踏み切らせていただいた。まだ授業料以外の部分や、外国の方が通う学校をどうするかといった問題があるが、12月の本予算確定までにしっかりと制度設計のために議論したい」と述べた。

 続いて、各地から参加した教職員や保護者が次々と登壇し、「親の懐具合を気にしないで子どもたちが安心して学べる環境を確立することは、みんなの願いだ。公私の区別なく安心して学べる環境を一緒につくりたい」(埼玉県の母親)、「公立と私立の経常費助成に約3倍の格差があるが、少しずつでも国などに支援してもらい、子どもたちが安心で安全に学べる学校にしていきたい」(青森県の父親)などと意見を述べた。

 参加者の東加奈子さんは「横浜市に住んでいるが、東京のみ私立高校の授業料が先行して無償化になり、多摩川を挟んでたくさんの高校生が行き来する中で、この差は何だろうとモヤモヤしながら活動に取り組んできた。首都圏のどこに住んでいても私学を選べ、無償で通えるようになるよう運動に取り組み続けたい」と述べた。

 参加者はこの後、小グループに分かれて文部科学省や財務省など関係省庁や、各政党の国会議員事務所への要請行動を実施した。文科省では、阿部俊子文科相宛てに、高校就学支援金の授業料支援額を直近の私立高校授業料の全国平均額に引き上げることや、来年予算で私学経常費助成を大幅に増額することなどを求める要請書を提出した。

広 告
広 告