海や河川などでの水難事故が多発する夏休みを前に、こども家庭庁を中心とした関係省庁は7月14~20日を「こどもの事故防止週間」とし、集中的な啓発、広報に取り組む。三原じゅん子こども政策担当相は7月8日の閣議後会見で「子どもだけで水に近づけさせない工夫をし、子どもが水に接する場合は目を離さず、手の届く範囲で見守るということが重要」と強調した。
同週間は今年度、溺水事故防止をテーマとし、「水の事故は近くにあります、みんなで危険回避!」とスローガンを掲げた。三原担当相は「子どもたちが川やプールで遊ぶ機会も増えるこの時期、残念ながら毎年多くの水の事故が発生している。子どもは危険に対する判断力が未熟。周りの大人が十分に注意を払う必要がある」と注意を呼び掛けた。
こども家庭庁は同週間を前に今月、水難事故のデータや危険性、対処方法などを掲載した特設サイトを開設。期間中は同庁のXで集中的に発信し、水難事故に関する注意喚起に取り組むという。また、駅などに啓発ポスターも掲出する。
特設サイトによると、2023年は0~14歳の不慮の溺死、水難死亡事故の死者数が前年比17人増の54人となり、直近5年間で最多だった。また、19~23年の5年間での中学生以下の水難事故犠牲者(死者・行方不明者)は半数以上が河川での事故で、次いで海や湖沼地が多かったという。
予防措置として救命胴衣着用の重要性や、一緒にいる大人は下流側で見守ることが有効といった注意点が紹介されている。また、河川で流された場合、流れに逆らって元の位置に戻ろうとするのはリスクが大きく、流れに対して上流45度程度を意識して、流れの緩やかな場所に向かうことなどを解説。救助方法としては、スローロープの用意が重要という。海では離岸流の危険性などが指摘されている。
発達段階別での注意点として、小学1~3年生は行動範囲が一気に広がり、ある程度泳げるようになると、自分の能力を過信して水深の深い場所に進む場合があるとして、具体的な行動ルールを教え、安全への意識付けが重要という。小学4~6年生は、仲間と一緒に遊んでいるときに危険を見落とす可能性があるとして、事前に子どもたち自身に水深、流れの速さ、水温、天候、周囲の環境など安全確認をさせるよう求めている。また、浴槽や浅いプールでも溺れる危険性があることも指摘している。
こどもの事故防止週間は17年度から消費者庁を中心に取り組まれ、19年度以降は夏休みに合わせて7月に実施。こども家庭庁発足後は同庁中心に進められ、23年度は車中などでの置き去り事故、24年度は熱中症をテーマにして展開された。
こども家庭庁のこどもの事故防止サイトはこちら。