デジタル学習基盤は「深い学び」に寄与する 田村氏と加固氏が対談

デジタル学習基盤は「深い学び」に寄与する 田村氏と加固氏が対談
デジタル学習基盤を生かした授業について語り合った田村氏(左)と加固氏=オンラインで取材
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 「デジタル学習基盤を活かした授業を考える」をテーマに、文部科学省の学校DX戦略アドバイザー事務局が主催したオンライン学習会がこのほど、開催された。文科省初等中等教育局主任視学官の田村学氏と、同局教育課程課教科調査官の加固希支男氏が登壇し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けたデジタル学習基盤の活用について、意見を交わした。

 田村氏は「1人1台端末が導入され、豊かな学びが実現できるようになったが、『主体的・対話的で深い学び』、とりわけ『深い学び』に向かっていくには、どうすればいいのだろうか」と投げ掛けた。

 そこで、新潟県の学校で総合的な学習の時間に行われた米作りに関する探究学習を紹介。子どもたちは途中で農薬使用についての課題にぶつかり、多くの子が最初は「農薬の使用は危ないのではないか」と考えたそうだ。

 しかし、1人1台端末などで農薬に関するさまざまな知識や情報を手に入れていくことで、単純に農薬の使用が悪ではないことが分かっていく。

 田村氏は「自分の中の『農薬』という言葉の意味や価値が書き換えられ、更新されていく。そうした状況を『深い学び』と言えるのではないか。ただ知ることではないような、子どもたちの成長を期待したい」と述べた。

 また、深い学びについて「知識がつながり、ネットワーク化することだと考えると、イメージしやすいのではないか」と話した。

 昨年度まで東京学芸大学附属小金井小学校教諭として教壇に立っていた加固氏は、6年生の算数の拡大図・縮図の単元を例に、実践を紹介。

 デジタル学習基盤を活用してやっていた主なこととして、▽単元で大切な着眼点をクラウドで共有▽板書写真をクラウドで共有――の2点を挙げ、「たったこれだけだが、劇的に学習は変わっていった」と話した。

 田村氏から劇的に変わった具体を問われると、「算数は他の教科と比較しても体系的であるが故に、前後の学びとのつながりが重要になってくる。1人1台端末が入る前は、前の学習を振り返りにくかったが、クラウド上に板書写真を共有しておくことで、『前にこういうことやったよね』というエピソードを含めて、子どもたちが思い出すことができる」と説明した。

 また加固氏は単元の振り返りについて、「デジタル学習基盤が入ったことによって、メタ的に振り返ることもしやすくなる。効果的に知識を関連付けていけるのではないか」と手応えを語った。

 「学び自体を、より『深い学び』の実現に寄せていくフェーズにきている。そこに向けてデジタル学習基盤を使っていくことが重要だ」と加固氏。

 田村氏は「教師が、より子どもに寄り添いながら、より子ども一人一人の多様性を踏まえた上で、デジタル学習基盤を生かすことが、子どもたちのより確かな力量形成につながっていくのではないか」と締めくくった。

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