尾張小中学校長会長 横並 孝
4月1日、市役所で教職員受入式があり、本校も新しく4人の教職員を受け入れました。受入式には、毎年校長も参加し、式を終えたところで、新・転任者と一緒に勤務校へ移動します。
今年度は転任者のみで、全員が自動車で来ていたので、「じゃあ、駐車場で待っています」と伝え、勤務校へ向かいました。自動車で十分ほどの所にある本校の駐車場に到着すると、ほぼ同じタイミングで一人が到着しました。まもなくして、あと二人が到着しましたが、残りの一人はなかなか現れず、20分後くらいにようやく姿を現しました。話を聞くと、「市役所の駐車場かと思い、そこで待っていました」と答えてくれました。「市の駐車場が混み合っていてなかなか出られなかったのか、道に迷っていたのか」そんなふうに考えていた自分が恥ずかしくなりました。
20年以上前、はじめて小学校に勤務したころ、子どもたちにうまく話が伝わらず、説明を加えたり、言い直しをしたりしたことが何度かありました。それ以降、「この言葉はもう習ったかな」とか、「この言い方で通じるかな」といったことを考えるようになり、ようやくうまく伝わるようになった、そんなことを久しぶりに思い出しました。
校長として、日頃から本校の教職員には、「子どもたちにはできるだけ短い言葉、分かりやすい言葉で指示してほしい」「伝えたかどうかより伝わったかどうかを意識してほしい」と話しています。それにもかかわらず、自分ができていなかったことに対して、大いに反省をしました。また、同時に、これまでにも「伝わっている」と思い込んでいるだけで、実は「伝わっていなかった」ということが、何度もあったかもしれない、と少し恐ろしくなりました。
現在、子どもたちや教職員へはもちろん、保護者や地域の方々、また、その他にもさまざまな立場の方々に話をする機会が多くあります。今回の一件を受け、大切な話をするときほど、伝えたいことを一方的に話すのではなく、きちんと伝わるよう話さなければいけないと強く思いました。
2025年度、教職員に向けての最初の挨拶では、自分への戒めを込めて、「駐車場で待っています」の失敗談を話し、改めて「伝えること」より「伝わること」を意識するようお願いをしました。
(半田市立雁宿小学校長)