主体的・対話的で深い学びを実現するパフォーマンス評価(4)算数・数学科の課題設定

京都大学大学院教育学研究科教授 西岡 加名恵

今回は、算数・数学科のパフォーマンス課題を考える。

算数・数学科では、何らかの事象について数学的な概念を用いた説明を求める課題や、現実世界の問題を数学的に解決することを求める課題などが開発されている。詳細は、石井英真氏との共編著『教科の「深い学び」を実現するパフォーマンス評価』(日本標準)を参照してほしい。

例えば、京都市立高倉小学校では、3年生の子供たちが次のような課題に取り組んだ。「身の回りにある円や球の形をしたものを探して、『図鑑』にまとめよう。見つけた円や球が、どのぐらいの大きさかも調べて、クラスで『円と球の大きさランキング』に並べよう」(図)

子供の作品例(田中耕治・岸田蘭子監修『資質・能力を育てるカリキュラム・マネジメント』日本標準から)

「1点からの距離が等しい図形」という円や球の概念を深く学ぶとともに、身の回りの世界を数学的に捉える面白さが感じられる課題になっている。

同校の5年生には、谷口紗矢佳教諭が次のような課題で実践を進めた。

「高倉の地域には、いろいろな国の方が住んでいます。その方たちが高倉小学校に来られた時にわかるように、英語で『TAKAKURA♦』と看板をつくることにしました。ですが、色紙を何枚使えばいいのか分かりません。色紙はたくさん買うと高いので、台紙に貼る色紙がどれだけ必要か計算することにしました。色紙が何枚必要かを5年2組の友達に分かるように説明しましょう」(徳島祐彌「5年生算数科『面積』におけるパフォーマンス評価」、京都大学大学院教育学研究科・教育学部『教育方法の探究』第21号、2018年)

子供たちはこの課題の解決に向けて、既知の図形に分解して複雑な図形の面積を求める方法を考え出すとともに、相手に分かりやすく数学的に説明する活動に取り組んだ。

これらの実践と同様に、中学校と高校の数学でも概念を用いた説明や問題解決を求めるパフォーマンス課題が想定できる。例えば、「負の数を用いて解くような問題と解答例を作る」「関数を使って未知の数量を予想する」という課題も考えられるだろう。

ただし、数学で追究される「真正性(リアルさ)」は、必ずしも実用的なものとは限らない。数学者が美的に数学を楽しむように、純粋に数学の美しさを楽しむことも、もう一つの「真正性」だと付言しておきたい。

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