職業としての教員―「教師」というレトリック(4)進まぬ採用者の支援体制

教職員支援機構上席フェロー 百合田  真樹人

2013年のOECD国際教員指導環境調査(TALIS)は、国際的に見ても群を抜く、日本の教員の長時間労働の実態を明らかにした。

加えて、教員が担う業務のうち、教員養成課程のカリキュラムで養成されるのは6割程度にすぎないことも分かった。つまり教員の業務の約4割は、採用後に修得しなければならないというわけだ。

教員養成課程修了後、試験を経て採用された人の多くがそのまま学校に配属され、教員業務を担うことになる。特に教員数の少ない地方の学校では、即戦力としての期待も大きい。初任者研修は学校の業務と並行して行われるのが通例だ。

講師採用者の場合、状況はさらに厳しくなる。大半は体系的な研修が用意されていないのが実情である。

講師の多くが教員採用試験の不合格者である点を鑑みれば、正規採用者よりも充実した研修機会を設けるべきなのは自明だが、現行システムと各教育委員会の判断の合理性は果たしてどこにあるのだろうか。

近年は教員の資質能力向上を目指し、教員養成機関が教育委員会と連携して新規採用者の支援を始める例も見られるようになった。

しかし、長年にわたり講師採用者に対する支援体制の不備が周知の事実だったにもかかわらず、支援の具体化がここまで遅れたのはなぜだろうか。現在は、支援プログラムの設置や予算措置を要求する動きが進んではいるが、まだまだ地域限定的であり、実践規模はいまだ小さい。

文科省の旗振りで、大学と教育委員会の連携を進めるための協議会が各都道府県に設置された。だが、各養成機関の修了者を追跡し、教育カリキュラムの有効性や改善点を発掘する調査研究はそれほど進んでいない。数少ない事例も、養成機関に所属する研究者らによる個別的研究が多く、組織的に取り組んだ例は少ない。

こうした現状は、教員養成課程の学びと現場が求める役割とのギャップ調整、新たなスキルの修得などを、初任者教員が自助努力で克服していることを示唆している。同時に、その負担の大きさから離職者や休職者を確実に生み出しているはずである。

今後、養成機関や採用権者に求められるのは、人材の確実な成長に向けた取り組みである。初任者や現場の教育実践者の状況を丁寧に調査研究し、採用形態を超えて支援する必要があるだろう。