2次補正予算成立 首相、子供予算倍増へ数兆円規模を示唆

2次補正予算成立 首相、子供予算倍増へ数兆円規模を示唆
第2次補正予算を賛成多数で可決した参議院本会議(参議院インターネット審議中継)
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 電気代やガス代の抑制策などを盛り込んだ2022度第2次補正予算案が12月2日夜、参院本会議で与党と国民民主党などの賛成多数で可決され、成立した。岸田文雄首相は、衆参両院の予算委員会の審議で、子供政策関連予算の倍増を目指す取り組みについて、「子供政策に関する予算としては、少子化対策関連予算6.1兆円、こども家庭庁関連予算4.8兆円となっている」と参考値を説明しながら、数兆円の予算規模を念頭に置いていることを示唆。来年6月ごろに閣議決定する「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)で、子供関連予算を倍増させる道筋を描く考えを改めて強調した。

 22度第2次補正予算案の一般会計総額は28兆9222億円。23年1月に始める電気代と都市ガス料金の負担軽減、ガソリン価格などの上昇を抑える補助金の延長などに計6兆1345億円を計上した。

 文科省の所管分は1兆4426億円。学校関連では、23年度から段階的に始まる部活動の地域移行を支援する経費として19億円、運営支援センターの機能強化などGIGAスクール構想の推進に95億円、23年度からの新たな教員研修の体制構築に25億円などを計上した。新型コロナウイルス感染症対策の保健衛生用品の購入や特別支援学校のスクールバスに対する感染リスクの低減などに255億円を積んだ。また、24年度から高等教育の修学支援新制度の対象を拡大することに先駆け、日本学生支援機構の奨学金業務システム改修費の一部として25億円を前倒しして計上した。

 子供政策関連では、園児の置き去りを防止する安全装置など子供の安全対策では、保育所や認定こども園などを対象とする内閣府や厚労省、幼稚園などを対象とする文科省分を合わせ、計234億円が盛り込まれた。

 岸田首相は予算委員会の席上、これまで繰り返し表明してきた子供政策関連予算の倍増を目指す取り組みについて、「子供政策については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って必要な子供施策が何かをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と合わせて、予算の倍増を目指して取り組みを進めていく」と説明した。

 その上で、倍増が意味する予算規模について、「子供政策に関する予算としては、現在さまざまな整理があるが、例えば22年度における少子化社会対策大綱に基づく少子化対策関連予算は当初予算ベースで約6.1兆円ある。また23年度のこども家庭庁関連予算の概算要求が約4.8兆円となっている」と、数兆円規模を念頭に置いていることを示唆。「こうした整理も参考にしつつ、子供の視点に立って必要な子供政策の中身をしっかり議論した上で、来年の『骨太の方針』において将来的な予算の倍増を目指していく道筋をぜひ示していきたいと考えている」と強調した。

 また、財源としての国債発行については「国債であるならば、その返済には将来世代の税収などが充てられることから、負担の先送りとなる恐れがあり、安定財源の確保あるいは財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要がある」と述べた。いずれも12月1日、参院予算委で伊藤孝恵議員(国民民主)の質問に答えた。

 「骨太の方針」は、政府が6月ごろに閣議決定している「経済財政運営と改革の基本方針」の通称。盛り込まれた内容は翌年度以降の予算編成方針ともなり、それに沿って各省庁が8月末に概算要求を行う。

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