オリパラ「勝手に応援プロジェクト」 東京・千寿桜堤中

オリパラ「勝手に応援プロジェクト」 東京・千寿桜堤中
生徒が折った千羽鶴。左から佐藤校長、オリパラ教育推進担当の中川明彦教諭、生徒会担当の越塚正弥教諭
【協賛企画】
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 東京都足立区立千寿桜堤中学校(佐藤豊校長、生徒503人)は、2016年度に都教委からオリンピック・パラリンピック教育重点校の指定を受けて以来、生徒が主体的に「誰か」を応援する「勝手に応援プロジェクト」に継続して取り組む。そのユニークな実践の狙いを取材した。

 同プロジェクトは、16年のリオデジャネイロ大会の際、女子重量挙げの選手に生徒全員で折った千羽鶴を贈ったのがきっかけで、さまざまな人を応援する活動として定着。昨年は、ラグビーワールドカップの日本代表選手らに、全校生徒で折った千羽鶴を贈った。

 現在は、スポーツ選手の応援にとどまらない。国内で大規模な災害が発生したときには、生徒の発案で募金活動が始まるなど、生徒が主体となったさまざまな活動に広がっている。

 「『勝手に』というネーミングには、応援された人が『絶対に勝たなければ』と重荷に感じてしまうのではなく、『ただ応援させてもらいたいだけ』という思いを込めている。応援を通じて、生徒たちは自分の関わりが誰かの支えや力になったことを経験する。その経験が生徒たちのさらなる主体的な行動を生んでいる」と佐藤校長は手応えを感じている。

 同校では、全教科を通じてオリパラ教育を推進しており、オリンピアンやパラリンピアン、元Jリーガーら、アスリートによる講演会、ブラインドサッカー体験、技師装具師による出前授業なども盛んに開催している。

 佐藤校長は「こうしたさまざまな専門家から直接話を聞くことは、生徒の中に『深い気付き』が生まれる機会になっている。これは、通常の授業ではなかなか教えられないものだ。講演会を通じて、生徒の生きる力が育まれている。講演会のたびに生徒の質問の質も変わっている」と振り返る。

 講演を聴いた生徒へのアンケートを読み返すと、「生きていくことを普通に頑張ることの大切さ」に対する気付きがつづられているのを、よく目にするという。

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