全国の学校現場で、盗撮やわいせつ行為など、教員による不祥事が相次いでいる。静岡大学教育学部の塩田研究室(塩田真吾准教授)は9月3日、鹿児島大学大学院教育学研究科髙瀬研究室(髙瀬和也助教)、鹿児島県教育委員会と共同で、リスクへの自覚を促す教員研修教材シリーズの第3弾となる「児童生徒との不適切な関係のリスク」の開発を報告し、無償提供を開始した。
近年、教員による不祥事が頻発しており、学校現場での服務研修の重要性が高まっている。これまでの研修は、チェックリストによる点検やルールの徹底、教員不祥事の事例紹介などが中心だったが、点検項目が多過ぎると形骸化したり、「自分は大丈夫」と他人事として捉えられたりする課題が指摘されていた。
今回開発された教材は、教員が児童生徒と私的な連絡先を交換してしまう場面を想定し、「もし自分が児童生徒と私的な連絡先を交換してしまうと仮定したら、どのような条件・環境・経緯が揃った場合であるか」を逆算的に思考させる手法を採用。これにより、リスクを「自分事」として捉え、自覚を促すことを目指している。
塩田准教授は「私たちの研究グループでは、不祥事を自分事として捉えるために場面強制想像法を用いて、『自分がやってしまう場面』を考えさせることと、不祥事への注意喚起だけではなく、『ライフキャリアをどう充実させるか』という視点を取り入れていることがポイントだ」と、研修教材について説明した。
これまでに「教員のライフキャリアとリスクver.」「導入&飲酒運転のリスクver.」「職員間ハラスメントのリスクver.」もリリースされており、いずれの教材も鹿児島県教育委員会のHP「リスクへの自覚を促す教員研修教材」シリーズから、無料でダウンロードできる。