125件のハラスメント認定 神戸市教員いじめで報告書

125件のハラスメント認定 神戸市教員いじめで報告書
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 神戸市立小学校で20代の教員が同僚の教員から深刻なハラスメント行為を受けていた問題を巡り、同市教委は2月21日、2017年からの2年半で、加害教員や前任の校長が被害教員に対して行った125件のハラスメント行為などを認定した、調査委員会の最終報告書を公表した。これを受け同市教委では、2月中にも加害教員らの処分を検討する方針。

 調査委では、同僚教員や管理職へのヒアリング、被害にあった20代男性教諭が提出した19通の書面などを基に、教員らの行為がハラスメントに当たるかを判断した。その過程で、当初、調査委には被害教員からの書面のうち、9通だけしか市教委から提出されていなかったことが発覚。調査報告書の提出が延期される事態になった。

 最終報告書によると、加害教員は30代の男性教員3人と40代の女性教員の計4人で、いずれのハラスメント行為も被害教員との優越的な関係を背景にした言動であると指摘した。また、加害教員らによる123件のハラスメント行為に加え、前任の校長から被害教員への2件の言動についてもハラスメント行為として認定した。

 ハラスメントの被害を訴えた男性教諭は、学校に赴任した当初から加害教員らのターゲットとなっていたが、先輩教員との関係性を維持しなければ学校でやっていけないと思い、我慢しながら付き合い続けざるを得なかった。しかし、その後もハラスメント行為はエスカレートし、管理職に相談してもかえって報復的な言動を浴びる結果となるなど、被害教員は精神的に追い詰められていった。

 被害教員が受けたハラスメント行為には、▽日常的に職員室などで「死ね」などの人格を否定するような言葉をかけられた▽養生テープで体を拘束して放置された▽プロレス技をかけられた▽激辛カレーを無理やり食べさせられたり、体に塗られたりした――などが認められた。

 このような事態に至った原因として、最終報告書では、加害教員らの個人的資質によるところが大きいとした上で、結果的にハラスメント行為を阻止、改善できなかった管理職らの対応、一体感のない学校の雰囲気、市教委の体制なども問題視した。

 再発防止策として、いじめの早期認知や人権の尊重などを含む実効性のある研修の実施、ハラスメント行為の通報窓口の設置、人事制度の見直しを挙げるとともに、学校現場を積極的に外部に開くことや、教員らがストレスを抱えずに働けるような職場環境の改善を提言した。

 最終報告書の提出を受け、長田淳神戸市教育長は「加害教員によるハラスメント行為について、非常に多くの事実認定がなされており、今後、提出された調査報告書をもとに、処分について厳正に対処する。また、調査報告書で指摘された事実を真摯(しんし)に受け止め、いただいた提言を踏まえ、再発防止と信頼回復に全力を挙げて取り組んでいく」とのコメントを発表。市教委は、2月中に加害教員らと前任を含む校長の処分を判断する。

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