新型コロナウイルスの感染拡大で教員の感染者も報告される中、臨時休校中の感染予防策として、在宅勤務を導入する自治体が増えている。在宅勤務を始めた教員は、具体的にどんな仕事をしているのか。また、在宅勤務をする上で、どのような課題があるのか。今回の臨時休校で在宅勤務を原則とする方針を示している東京都の教員に、本紙などが緊急アンケートを行った。
4月15~17日に、都内の公立学校の教員39人に「在宅勤務でどのような仕事をしているか」「在宅勤務についてどう感じているか」などを匿名による自由記述で回答してもらった。週当たりの在宅勤務の日数は▽5日 11人▽4日 13人▽3日 7人▽2日 6人▽1日 1人▽在宅勤務をしていない 1人――で、多くの回答者が週に複数日の在宅勤務を行っていた。
校内でローテーションを組み、勤務日には同じ出勤グループのメンバーだけが学校にいるようにして、万が一誰かが感染した場合でも、出勤停止となる教員を限定できる工夫をしている学校もあった。
自宅での業務内容では「指導案の作成や教材研究」に関連した回答が多かった。中には「教員を対象にした遠隔授業や会議の自主研修会」「学校ホームページの改善」などもあった。
一方、在宅ではできない仕事では「個人情報に関わる業務」「教室などの片付け」「学校での子供預かりへの対応」などが挙がった。
在宅勤務を始めるに当たって意識したことを聞いてみると、「勤務時間の順守」や「持ち帰れる仕事と学校でしかやれない仕事の振り分け」「仕事の優先順位を付けて計画を立てる」「家事との両立」など、「メリハリ」を気に掛けている様子がうかがえた。
中には、自宅での教材研究では「ここで怠けるか、研鑽(けんさん)するかで、教師の力の差が生まれる」との厳しい指摘も。また、大半の教員が在宅勤務未経験で不安だったことから、学年の教員同士でLINEグループをつくったり、ネット電話アプリ「Skype」を活用したりして、情報共有をスムーズにしているという学校もあった。
初めての在宅勤務を実際にやってみて、教員は率直にどう感じているのだろうか。
「教材研究にじっくり取り組める」「意外とこれでできる」「家族と過ごす時間が増えた」など好意的な意見が多くみられた一方、「同僚とコミュニケーションが取りにくい」「子供に授業をしてこそ教員の仕事。働いている感じがしない」「経験年数が浅い教員は自宅で何をすればいいか分からないのではないか」など、在宅勤務への戸惑いを隠せない教員もいた。
特に「育児もしなければならず、仕事が思うように進まない」といった、育児との両立の難しさを訴える声が複数寄せられた。
また、今後も教員の在宅勤務を認めていくべきかを聞いたところ、多様な働き方や働き方改革の一環として、夏休みなどの長期休業中を中心に「認めてほしい」との声が大半を占めた。
一方で、反対の立場からは「私立のようにオンラインで会議や授業ができるのであれば『あり』だが、公立では、仮にオンラインができる環境になっても、新しいものを受け入れられない文化が足かせになる。もっと抜本から変えていかなければいけない」との意見もあった。
寄せられた回答の中には、勤務する学校や自治体によって在宅勤務の運用に違いがあることや、学校が実施している子供預かりでの感染リスクへの懸念、情報セキュリティーとの兼ね合いなどの指摘もあった。