新型コロナウイルスの影響による休校中の先進事例を紹介する、超教育協会のオンラインセミナーが7月15日に行われ、京都市の在田正秀教育長が、休校期間中に地元メディアと連携して特別教育番組を放送した成果について報告した。同市では、この特別教育番組の成果を踏まえ、感染の第2波、第3波に備えて、全市共通のオンライン授業コンテンツの提供を目指す。
休校の長期化で、家庭のインターネット環境に左右されずに、全ての子供たちに学びを提供できる方法を模索していた同市教委では、同様に子供や家庭の支援策を検討していた地元テレビ局のKBS京都と連携。小学3年生~中学3年生を対象に、新年度が始まる4月に学習予定だった教科書の1、2単元の学習内容をまとめた特別教育番組を計60本作成し、4月20~30日の平日に放送した。
後に、休校が5月末まで延びたことを受けて、小学校低学年にも対象を拡大し、追加放送。内容は指導主事が教科や学年ごとに作成し、15分程度で構成した。知識を伝えることよりも、子供たちが自分で学習するための学び方を伝えることを重視したという。
並行して、京都新聞社が毎週日曜日に発行する子供向け新聞「ジュニアタイムズ」でも特別紙面を組み、特別教育番組の内容や親子体操、学校給食の再現レシピなど、家庭でできる多様な学びを紹介。市内の全児童生徒に無償配布した。
地元メディアと連携した取り組みについて、在田教育長は「短い時間で皆さんにご協力いただいた。行政だけではなしえない、まさにオール京都の取り組みだったと感じている」と成果を振り返った。
感染の第2波、第3波によって再び休校になることを想定し、各校でZoomやYouTubeなどを活用したオンライン授業への対応を進めると同時に、特別教育番組の実績を踏まえ、教育委員会内に臨時休校時のオンライン授業サポートチームを組織し、全市共通の授業コンテンツを作成していく考えを示した。
在田教育長は「いつ自校が臨時休業となるか分からない中、同時に全ての事態を想定することも難しい。登校再開後、個別の補習への対応も必要となっている。一部の児童のみの出席停止の場合、学級、学年閉鎖の場合など、それぞれの状況に応じた家庭学習を行うためのスキームを、教育委員会がハード・ソフトの両面で構築することで、学校と教育委員会が一体となって子供たち一人一人の学びを保障していきたい」と語った。