両陛下「ピンチをチャンスに」 小中学校の校長らと面会

両陛下「ピンチをチャンスに」 小中学校の校長らと面会
両陛下との面会の様子を説明する花田茂・東京都中学校長会会長(左端)と喜名朝博・東京都公立小学校長会会長(左から2人目)ら
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 天皇、皇后両陛下は10月1日、東京都港区の赤坂御所で、東京都公立小学校長会会長の喜名朝博・江東区立明治小学校統括校長や、東京都中学校長会会長の花田茂・国分寺市立第二中学校校長ら、学校現場の関係者と面会された。出席者によると、両陛下は新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校や再開された学校現場の様子について、熱心に耳を傾けられた。今後の感染対策のために公立学校がICTを使った教育に取り組み始めた様子を説明すると、天皇陛下が「ピンチをチャンスに変えるのですね」と話され、学校現場を励ます場面もあったという。

 同席した文科省の丸山洋司・文科審議官によると、面会は午後5時に始まり、午後6時の終了予定を大幅に超えて、約2時間にわたって行われた。席上、藤田裕司・東京都教育長が都立高校の状況を、喜名校長と花田校長がそれぞれ小学校と中学校の様子を説明した。

 喜名校長は、小学校1年生が入学式を終えた後、すぐに休校で自宅学習になり、2カ月後の分散登校で、やっと学校に通い始めた時の様子を話したという。

 「私たち教員は、新1年生の子供たちが、いきなり2カ月も休校になって学校に十分適応できないのではないか、親から離れられなくなるかもしれないと心配していた。だからこそ、休校期間中に教員たちはインターネットや電話などを通じて、子供たちとのつながりと連絡を絶やさないように心掛けていた。学校がやっと再開されたとき、子供たちは学校への期待感を持って元気に登校してきてくれた。このときの様子をお話ししたところ、両陛下は感銘を受けていらしたと思う」と説明。「両陛下は子供たちの状況にとても関心を持たれていることが伝わってきた。そのことに感銘を受けた」と続けた。

 花田校長はコロナ禍によって中学校が抱えた課題として、修学旅行や部活動について時間を割いて説明したという。

 「ICTを使った授業は、これまで公立学校ではできていなかった。教職員も対応できていない。しかし、今後の感染対策を考えると、苦手だった教職員もICTを使った授業をやらざるを得ない。そういう発想の転換がわれわれ教職員の中に生まれてきている状況を説明したところ、陛下は教職員へのねぎらいの気持ちを込めながら、『ピンチをチャンスに変えるのですね』と話された。これには勇気づけられた」と話した。

 このほか、両陛下は、コロナ禍のステイホームによる児童虐待の増加や、生活に困窮する家庭の子供たちへの就学援助、子供たちへの心のケアの問題、新型コロナの感染者やその家族に対する誹謗(ひぼう)中傷の問題などについて、出席者に質問されたという。また、GIGAスクール構想でICT機器が学校現場に普及することで「子供たちの視力低下が懸念されるのではないか」との指摘もされたという。

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