中教審の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(WG)」は10月6日、第12回会合を開き、これまでの議論を踏まえた審議まとめ素案について検討した。素案では新学習指導要領が2022年度から年次進行で実施されることに合わせ、「22年度までにスクール・ポリシーの策定・公表に取り組むことを基本」とすることや、特色ある新たな学科の設置も「22年度から設置者の判断により可能とすることが望ましい」とされた。
各高校が育成を目指す資質・能力を明確にするスクール・ポリシーは、22年度までの策定・公表が難しい場合も考慮し、「一定の準備期間も考慮した制度設計を行う必要がある」と記載した。また各校の存在意義・役割・目指すべき学校像を示し、スクール・ポリシーの根拠となるスクール・ミッションについては、「各地域の事情に応じて、適切な時機を捉えて行われることが望まれる」とした。
委員からは「これから現場が自分事として(スクール・ポリシーに関する)物事を動かしていくことになるが、22年度で大丈夫か。少し(検討)時間が短いのではないか」「期限を区切ることが適切かについては、広く高校の声を聞くべき。高校の新学習指導要領は、かつてない規模の改革になる。22年度に同時に導入するより、むしろ1年目の導入を経てスクール・ポリシーを考える方が、教職員に共有されやすいのではないか」との意見が出た。
別の委員は「現場の反応はさまざまで、設置者が決めてくれた方がよい、という学校もあれば、期待しているという学校もある。学校によって取り組みの差が大きく、設置者側がかなりきめ細かく伴走する必要があると感じる」と指摘した。
また今回の素案では、各高校に求められる役割について▽サイエンスやテクノロジーの分野などにおいて、飛躍知を発見するイノベーターとしての素養の育成▽地域への課題意識を持ち、地域ならではの新しい価値を創造し、地域を支えるために必要となる力の育成▽義務教育段階における学習内容の確実な定着――といった例を挙げ、普通科においても一斉的・画一的な学びではなく、それぞれの特色・魅力を明らかにしていくことを求めた。
その上で▽学際的な学びに重点的に取り組む学科▽地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科▽その他スクール・ミッションに基づく特色・魅力ある学びに重点的に取り組む学科――など、これまでの議論で提示された新たな学科の例に沿って、それぞれが育成を目指す資質・能力と学びの姿、教育の特徴についても示した。
WGでは今回の議論を踏まえ、11月2日に行われる次回会合で審議まとめ素案の修正を行うほか、スクール・ポリシーなどについて、荒瀬克己主査(関西国際大学学長補佐)が全国高等学校長協会へのヒアリングを行う予定としている。
今回の素案のポイントは以下の通り。