政府は10月15日、新型コロナウイルス感染症対策分科会を開き、来年1月から2月にかけて予定される大学入学共通テストで、受験生が無症状の濃厚接触者となった場合、条件付きで受験を認めることを了承した。保健所から濃厚接触者に該当するとされた受験生であっても、PCRなどの検査が陰性で無症状の場合、試験会場まで公共交通機関や人が密集する場所を避けて移動し、別室で受験することを条件に、共通テストを受けることができる。国公私立大の個別入試でも同様の対応を求める。
文科省は6月19日に示した「令和3年度大学入学者選抜実施要項」に別添されたガイドラインで、受験生が保健所から濃厚接触者に該当するとされ、14日間の健康観察期間中に受験日が重なる場合は、無症状でも受験を断念しなければならない、としていた。今回の決定は、このガイドラインを変更し、条件付きで濃厚接触者も共通テストを受験できるように改める措置となる。
対応の柱となるのは、試験場に別室を用意し、濃厚接触者とされた受験生が試験を受けられるように配慮する措置。文科省が示した資料によると、受験できる条件は▽PCRなどの検査の結果が陰性であること▽受験当日も無症状であること▽公共の交通機関を利用せず、人が密集する場所を避けて試験場に行くこと▽終日、別室で受験すること――の4つ。PCRなどの検査結果が判明するまでは受験不可とし、その受験生は追試験を受験する。
濃厚接触者とされた受験生が別室で受験できるようにするため、試験場に求める感染対策も新たに定める。具体的な項目では、▽別室まで他の受験者と接触しない導線が確保されていること▽別室では受験者の座席間隔が2メートル以上空いていること▽監督中は受験者との距離を2メートル以上確保すること▽監督者の感染対策が講じられていること――の4つを挙げた。
終了後、記者団の取材に応じた西村康稔経済再生相によると、分科会では、感染症専門家ら出席者から「試験会場での感染リスクは非常に低いとの認識は共通しているが、都道府県によっては感染状況が悪化しているケースもあり得る。そういった場合でも受験生がしっかり受験できる体制を準備してほしい」「受験者本人、家族、試験監督者、会場関係者は、試験実施日の2週間ぐらい前から健康管理や体調チェックなどをしっかり行う必要がある」といった意見が出た。
また、西村経済再生相は席上、「当日になって、症状がある受験生が出てくる可能性がある。部屋やトイレの動線をできる限り分けるなど、事前にいろいろなケースを想定していくことが大事だ」として、文科省に対応を求めたという。
大学入試センター試験に代わる共通テストでは、第1日程(来年1月16日・17日)に加え、新型コロナによる休校で学習が遅れた高校生に配慮して「第2日程」が設けられている。第2日程を受ける予定だった受験生が体調不良などで欠席した場合は、2月13、14日の特例追試験を受けられる。