新型コロナウイルスが子どもや保護者に与えた影響を定期的に調査している、国立成育医療研究センターのコロナ×こども本部は6月29日、英国のオックスフォード大学の研究者が中心となって行っている、英国の子どもと保護者のコロナ禍におけるメンタルヘルスの調査「Co-SPACE(COVID-19 : Supporting Parents, Adolescents and Children during Epidemics)」の日本語訳を、同センターのホームページで公開した。ロックダウンが行われると、子どもの行動や感情、注意力が顕著に悪化することが示された。
同調査は4~17歳の子どもがいる保護者と、11~16歳の子どもを対象に、毎月同じ人に同一内容の調査を行い、経時的な変化を追っている。Co-SPACE研究グループと共同研究をしているコロナ×こども本部では、許可を得てリポートの日本語版を作成。今回翻訳されたのは3月8日に公表されたレポート9と、5月5日に公表されたレポート10で、いずれも保護者の回答を分析したものとなっている。
レポート9によると、子どもや若者の行動、感情、注意力に関する問題は今年の1~2月に再び増加し、特に感情の問題は昨年3月から実施された最初のロックダウン時よりも悪化していた。
また、保護者の不安やストレス、うつ症状は昨年11月から増えており、最初のロックダウン時よりも悪化。「子どもと仕事の両方のニーズを満たすことができなかった」と答えた保護者の人数が、昨年12月から今年2月にかけて急増していた。
最新のリポート10では、学校に通う子どもたちの行動、感情、注意力に関する問題が最も悪化したのは、ロックダウンが最も激しかった昨年6月と今年2月であること、ロックダウンが緩和された今年2~3月にかけて、子どもたちの行動、感情、注意力の問題は急激に改善されていたことが分かった。
また、コロナ禍を通じて、子どもたちの行動、感情、注意力の問題は、4~10歳の子どもの方が変化が大きく、11~16歳の方が安定していることも明らかになった。