授業でICT活用できる教員、75.2%に上昇 文科省調査

授業でICT活用できる教員、75.2%に上昇 文科省調査
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 文科省は8月31日、2021年度の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の速報値を公表した。GIGAスクール構想による環境整備が進んだことなどから、今年3月1日時点で、教育用コンピューター1台当たり児童生徒数は0.9人(前年度1.4人/台)となり、初めて端末台数が児童生徒数を上回った。併せて調査した教員のICT活用指導力については「授業にICTを活用して指導する能力」が前年度と比べ5ポイント改善し、75.2%となった。確定値は10月末までに公表予定。

学校におけるICT環境の整備状況
学校におけるICT環境の整備状況

 教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は小学校0.9台/人、中学校0.8人/台となった一方、高校では1.4人/台にとどまった。全校種で整備率が高いのは徳島県、高知県、愛媛県など17府県で0.8人/台、最も低いのは滋賀県で1.1人/台だった。普通教室の無線LAN整備率は93.3%で、前年度より14.4ポイント改善。整備率が高い県は岡山県(100%)、徳島県(99.9%)、大分県(99.7%)など、低い県は熊本県(63.2%)、群馬県(81.9%)、岩手県(83.8%)など。

 また、普通教室の大型提示装置整備率は10.3ポイント改善し、81.9%となった。教務系・保健系・学籍系・学校事務系などを統合した機能を有する校務支援システムの整備率は79.9%で、6.4ポイント改善した。指導者用デジタル教科書の整備率は81.2%で、前年度より13.8ポイント改善した。学習者用デジタル教科書の整備率は、文科省の実証事業で小中学校などに配布されている分も含めて35.9%となり、前年度より29.7ポイントの大幅改善となった。

教員のICT活用指導力の状況
教員のICT活用指導力の状況

 同調査ではまた、授業を担当している教員に対し、自己評価の形でICT活用指導力の状況を尋ねた。「A:教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」は、細分化された下位項目の平均が87.5%(前年度86.3%)、「B:授業にICTを活用して指導する能力」は平均75.2%(同70.2%)、「C:児童生徒のICT活用を指導する能力」は平均77.3%(同72.9%)、「D:情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力」は平均86.0%(同83.3%)となり、いずれも上昇した。都道府県別に見ると、A~Dの各項目とも最も割合が高かったのは愛媛県、次いで徳島県だった。

 細分化された下位16項目のうち、最も「できる」「ややできる」と回答した教員の割合が高かったのは、「A:教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」の中の「授業に必要なプリントや提示資料、学級経営や校務分掌に必要な文書や資料などを作成するためにワープロソフト、表計算ソフトやプレゼンテーションソフトなどを活用する」で、91.6%が「できる」または「ややできる」と回答した。

 一方、最も低かったのは「C:児童生徒のICT活用を指導する能力」の中の「児童生徒が互いの考えを交換し共有して話し合いなどができるように、コンピューターやソフトウェアなどを活用することを指導する」の項目で、「できる」「ややできる」と回答した教員の割合は68.1%にとどまった。

 21年度中にICT活用指導力の各項目に関する研修を受講した教員の割合は75.8%(前年度63.8%)だった。割合が高かったのは長崎県(96.6%)、長野県(96.2%)、愛媛県(95.8%)など、低かったのは和歌山県(54.5%)、神奈川県(58.0%)、愛知県(61.5%)など。

 今回の調査は今年3月1日時点での①学校におけるICT環境の整備状況②教員のICT活用指導力――を調べたもので、①は全公立学校(小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校)、②は全国の公立学校の授業を担当している教員(75万4145人)が対象。都道府県および市区町村別の調査結果など、調査結果の詳細は文科省のウェブサイトで確認できる。

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