「改革しっかりやっていく」運動部活動の地域移行 室伏長官

「改革しっかりやっていく」運動部活動の地域移行 室伏長官
会見で来年度予算の概算要求を説明する室伏長官
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 休日の公立中学校の部活動が2023年度から地域移行されることに伴う経費などを盛り込んだスポーツ庁の同年度予算の概算要求がまとまったことを受け、室伏広治長官が9月1日、記者会見した。室伏長官は、今年度当初予算から約108億円増となる約463億円の概算要求を「運動部活動の地域連携や地域スポーツクラブ活動への移行に向けた環境の一体的な整備、持続的な競技力向上の体制の確立、スポーツの成長産業化およびスポーツによる地方創生などに必要な経費を計上した。地域移行の改革をしっかりやっていく」と述べた。

 運動部活動の地域移行は、少子化の進行による中学生人口の減少や教員の働き方改革への流れを背景に、公立中学校での部活動を来年度から地域で受け皿となる実施主体や、教員に代わる指導者に委ねていこうというもの。有識者らによる検討会議で今年6月提言がまとめられ、来年4月から休日の実施を先行して段階的に進めていくことになった。現在提言に基づいて各地方自治体で具体的な移行策についての検討が進められている。

 今回のスポーツ庁の概算要求では、地域スポーツクラブ活動体制整備事業に約102億円を計上した。このうち、運動部活動の地域移行に向けた支援に約77億円を計上。地域移行で最大の課題とされている教員に代わる指導者の配置支援に関しては、都道府県に広域的な人材バンクを設置するための補助を行う。指導者の「質」を保証するため指導者養成の講習会の開催や資格制度の改革、経済的に困窮する家庭に対して、地域移行に伴って発生する施設利用料や会費など参加費用の負担の支援も盛り込んだ。

 地域移行にあたっては自治体、学校と実施主体との連携を担うコーディネーターが成否の鍵を握っており、室伏長官も「重要なポジション」と指摘。都道府県、各自治体に配置する総括コーディネーターは関係者間の調整にあたり、実施主体と学校とをつなぐコーディネーターは連絡調整や指導者の派遣管理などを行い、円滑な地域移行を進める。

 また、提言では教員に代わって部活動を担う外部の部活動指導員の活用が期待された。概算要求では20億円を計上して1万8000人を配置する予定で、部活動の指導のほか大会への引率などで教員の負担を軽減する。

 地域における新たなスポーツ環境の構築には約3億7000万円を計上。複数種目が体験できたり、体験型キャンプに参加できたりするなどの実践研究を通じた地域スポーツクラブ活動のモデル作りや、拠点校での合理的で効率的な活動など多様にスポーツを楽しめる環境作りに取り組む。

 会見で室伏長官は「地域連携によって子供たちが学校部活動にないスポーツを体験していくことは、子供たちの財産にも日本の財産にもなっていくと思っている。今のままでは例えば団体競技でチームが組めないといったケースも出てくるので、地域移行の改革をしっかりやっていく必要がある」と話した。

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