教室の換気「1時間に3.18回」、効果的な方法を紹介 文科省

教室の換気「1時間に3.18回」、効果的な方法を紹介 文科省
iStock.com/Uni Hirano
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 新型コロナウイルスの新規感染者数が高い水準で推移している中、文科省は9月2日、学校現場に換気の徹底を改めて求め、換気の効果的な実施方法を周知する事務連絡を都道府県や政令市の教育委員会などに出した。教室の換気回数と二酸化炭素濃度の関係について、学校環境衛生基準の二酸化炭素濃度1500ppm以下を保持するためには、1時間当たり3.18回の換気が必要との実験結果を紹介。窓や扉の開放による常時換気の方法や、二酸化炭素濃度測定器の使用、サーキュレーターの使用など、効果的な換気の方法を詳しく説明している。

 事務連絡では、学校における換気の基準について、学校保健安全法に基づく学校環境衛生基準では「二酸化炭素は、1500ppm以下であることが望ましい」としている一方、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は7月14日、学校についても「できる限り1000ppm相当の換気に取り組むことが望ましい」との見解を示していることを紹介。十分な換気ができているかを確かめる二酸化炭素濃度測定器の購入については、文科省の支援事業で補助対象になっていることも付記している。

 換気の基本的な考え方については、文科省の学校衛生管理マニュアルに「気候上可能な限り常時、困難な場合はこまめに(30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する)、2方向の窓を開けて行う」と具体的に示していることに言及。日本学校保健会が示している常時換気の方法として、「廊下側と窓側を対角に開けることにより、効率的に換気することができる。窓を開ける幅は10センチから20センチ程度を目安とするが、上の小窓や廊下側のらん間を全開にするなどの工夫も考えられる。廊下の窓も開けることも必要」と紹介した。

 教室の換気回数と二酸化炭素濃度の関係については、倉渕隆・東京理科大教授の実験結果を参考として示している。それによると、教員1人と児童(小学校高学年)35人が在室している場合、学校環境衛生基準の二酸化炭素濃度1500ppm以下を保持するためには、計算上1時間当たり3.18回の換気が必要という。

 エアコンを使用した状態であっても、窓開けによる換気が必要なことについても、田口真穂・横浜薬科大准教授の実験結果で説明している。それによると、窓を閉めた状態では、授業開始後約20分で教室中央での二酸化炭素濃度が1500ppmを超えており、換気が不十分であることが示唆された。一方、対角線上に運動場側の窓と廊下側の扉を開放し、連続換気したところ、いずれの条件においても二酸化炭素濃度は1000ppm以下に保たれた、という。

 教室内の二酸化炭素濃度の上昇については、学校環境衛生基準のマニュアルで示されているデータを再掲。それによると、教室に教師1人と児童生徒40人が在室していて、窓を閉め切り換気が行われていない場合、計算上、小学校低学年では約26分、小学校高学年や中学生では約18分、高校生では約14分で教室内の二酸化炭素濃度は学校環境衛生基準の1500ppmに達する、としている。

 また、サーキュレーターの使用で空気の流れを作ることで、教室内の換気を補助できることも紹介した。ただ、「サーキュレーターによる換気効果は限定的」として、窓開けによる換気を基本とするよう求めた。サーキュレーターは、雨天時やエアコンの使用などで窓が開けられない場合や、少ししか開けられない場合に補助的に使用するとしている。

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