部活動ガイドラインの活動時間「変更する予定はない」 永岡文科相

部活動ガイドラインの活動時間「変更する予定はない」 永岡文科相
記者会見で質疑に応じる永岡文科相
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 高校の部活動の活動時間を巡る現行のガイドラインが実態に即していないとして見直しを求める声が自治体から出ていることについて、永岡桂子文科相は9月6日の閣議後会見で、「(部活動の地域移行に向けた)有識者会議の提言を踏まえた改訂を予定しているが、休養日や活動時間に関して変更する予定はない」と述べ、部活動のガイドラインで示した活動時間の基準を変更する考えがないことを明らかにした。同時に「学校設置者にはそれぞれ違う思いがあると思う。高校の部活動についても、実情において適切に判断していただきたいと考えている」とも説明し、高校の部活動の休養日や活動時間については自治体など学校設置者の判断を尊重する考えを示した。

 2018年に公表された運動部と文化部の部活動のガイドラインでは、中学校の部活動における休養日と活動時間の基準について、休養日を週2日以上(平日と休日それぞれ1日以上)、1日の活動時間を平日2時間程度、休日3時間程度と規定し、それを高校にも「原則として適用」するとしている。この基準について、千葉県柏市の太田和美市長が前日の9月5日、永岡文科相に面会し、「発達段階の異なる中学校と高校が同じ基準を用いており、実態に即していない」として、高校の基準を見直すよう求める要望書を手渡した。

 この高校の部活動の基準見直しについて、閣議後会見で質疑に応じた永岡文科相は「部活動のガイドラインにおける休養日とか、活動時間の取り扱いについては、高校生を含めて、成長期にある生徒がバランスのとれた生活を送ることができるような基準設定になっている」と説明。「いま部活動の地域移行が行われており、有識者会議の提言を踏まえた(ガイドラインの)改訂を予定しているが、今回、千葉県柏市から要望があった、休養日とか、活動時間に関して変更する予定はない」と述べ、ガイドラインにおける休養日や活動時間の基準は、教育課程内の活動、部活動、学校外の活動、その他の食事、休養、睡眠などの生活時間のバランスを考慮して設定されていることから、その基準を見直す考えがないことを確認した。

 その上で、「ガイドラインは、基本的な考えを学校や教員に示すもの。それこそ、高校と中学では、確かに違う。地域や学校でも違う。部活動というものは本当にたくさんあり、全ての学校が全く同じというわけにはならない。そこのところは、学校設置者にはそれぞれ違う思いがあると思う。高校の部活動についても、原則として(ガイドラインの基準を)適用しているけれども、実情において適切に判断していただきたいと考えている」と続け、理解を求めた。

 千葉県柏市では、2018年12月、同市立柏高校の吹奏楽部員だった生徒が自死。同市の調査検証委が3月に公表した報告書では、平日で約5時間半、休日で約11時間の練習が行われていたと認定された。太田市長によると、同市では現在、高校の部活動について活動方針の見直しを進めており、1日の活動時間などについて具体的な数字を盛り込むことを検討している。

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