給食費負担、政府支援策の活用求める 物価高騰で文科省

給食費負担、政府支援策の活用求める 物価高騰で文科省
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 文科省は9月12日、学校給食費の保護者負担の軽減に向け、政府の支援策の活用を求める事務連絡を、都道府県・政令市教委の学校給食主管課などに向けて発出した。政府が9日に取りまとめた物価高騰に対する追加策で、学校給食費の支援が推奨メニューとして示されたことを周知するとともに、これまで保護者負担軽減の取り組みを実施、または予定している自治体が約83%に上るという調査結果も公表した。

 政府は原油価格・物価高騰に対する支援策として、地方自治体が地域の実情に応じて活用できる「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を、食材などの高騰の影響がみられる学校給食費の負担軽減にも活用できることとしている。今月9日には、政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、追加策として「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」が創設されることが示され、自治体に周知された。

 文科省の調査によれば、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充により設けられた「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用するなどして、学校給食費の保護者負担軽減の取り組みを実施、または予定している地方自治体は、7月29日時点で、全国1793自治体(事務組合含む)の約83%に当たる1491自治体に上った。

 学校給食費の保護者負担軽減策をすでに実施している自治体は、約38%に当たる679自治体あった。このうち地方創生臨時交付金を活用しているのが372自治体あり、307自治体は自主財源などで対応していた。

 また、実施を予定しているとした自治体は約45%に当たる812自治体あり、このうち「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を活用予定としている自治体は約96%に当たる781自治体あった。

 「実施を予定していない」と回答した302自治体の理由は、「現時点では学校給食費の値上げを行う予定がない」(284自治体)、「現時点では給食費の値上げを行っていないが、今後値上げを予定しており、保護者負担の軽減については今後対応を検討する」(3自治体)、「学校給食費の値上げを行ったが、子育て世帯への給付金の支給事業を行う予定であり、重複する取り組みとなるため」(1自治体)、「軽微な学校給食費の値上げのためなど」(14自治体)だった。

 文科省は今回の事務連絡で、「現下の物価高騰の状況では、食品事業者側からは、厳しい環境の中で今後値上げを求めざるを得ないとの声も聞かれる」として、現時点で学校給食費の値上げを行う予定がない自治体に対しても、今後、食材費が値上げされた場合には、適切な価格転嫁を行うとともに、政府の交付金を活用して保護者の支援を行うよう促した。

 また学校設置者の判断に基づき、学校給食に地場産物や国産物を積極的に使用することや、穀類であれば精白米、食パン、コッペパン、うどん、中華麺など多様な食品を組み合わせ、「児童生徒が必要な各栄養素をバランス良く摂取しつつ、さまざまな食に触れることができるようにする」ことに配慮を求めた。

 合わせて、9日に示された「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」で、学校給食費の保護者負担軽減支援が、効果的な「推奨事業メニュー」に位置付けられたことを周知し、その活用方法については改めて連絡するとした。

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