給食に漂白剤、文科相「児童のケア重要」 カウンセラー派遣を支援

給食に漂白剤、文科相「児童のケア重要」 カウンセラー派遣を支援
水谷東小の事件について、スクールカウンセラーの追加配置に伴う経費を支援する考えを示した永岡文科相
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 埼玉県富士見市内の小学校で、給食のカレーに漂白剤を入れたとして、同校に勤務する教員が逮捕・送検された事件を受けて、永岡桂子文科相は9月20日の閣議後会見で、「安全安心が求められる学校において、教職員自身が本当に守り育てるべき児童などに危害を加えるという行為は絶対に許されることではないと思うし、誠に遺憾」と述べた上で、「学校に通う児童に対してはきめ細やかな心のケアが大変重要」とし、スクールカウンセラーなどを追加配置する際に伴う経費について、要望があれば支援する考えを示した。

 東入間署は16日、同市立水谷東小学校(松波徳美校長、児童227人)の教諭、半沢彩奈容疑者を威力業務妨害の容疑で逮捕した。同署によると、半沢容疑者は逮捕前日の15日、同校の給食のカレーに塩素系の漂白剤を入れ、全校児童の安否確認を余儀なくさせるなど学校の業務を妨害した疑い。犯行動機については「昨年度に受け持っていたクラスの担任を外され、人事に不満があった」と供述しており、17日にさいたま地検に送検された。

 事件を受けて、永岡文科相は20日の閣議後会見で、「文科省として、このような事件が今後生じないように、学校教育における国民の信頼確保の観点から、引き続き教職員の非違行為の防止と厳正な対処を各教育委員会に対して強く指導する」と述べた。学校給食の安全管理については、異物混入防止の観点から、これまでも各自治体に求めてきた配膳室の施錠といった施設管理の徹底を引き続き求めるとした。

 また、富士見市教委は水谷東小に通う児童の心のケアのため、16日から同教委内に設置されている教育相談室に常駐する相談員を毎日1~2人派遣している。担当者は「心の状態をよく見ながら、必要に応じて対応を手厚くしたい」と述べた。埼玉県教委も富士見市教委の要請に応じ、20~22日までスクールカウンセラーを1人、水谷東小に派遣。また、26日~10月24日の毎週月曜(月曜が祝日の場合は火曜)についても、スクールカウンセラーを1人派遣することを検討している。文科省への支援要望について、担当者は「委員会内で検討し、必要であれば要望したい」とした。

 学校内の安全に関しては、2012年に策定した「第1次学校安全の推進に関する計画」で、教育活動中の事故防止や不審者侵入等に対応した危機管理マニュアルと防犯設備の整備や訓練の実施、犯罪被害を防止するための安全点検や見守り活動等の対策を推進。また今年3月に閣議決定された第3次計画でも施策の方向性として、▽学校安全計画・危機管理マニュアルを見直すサイクルを構築し、学校安全の実効性を高める▽地域の多様な主体と密接に連携・協働し、子供の視点を加えた安全対策を推進する▽全ての学校における実践的・実効的な安全教育を推進――などを盛り込んでいる。

 担当する文科省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課は「学校内の防犯については、外部の人間が児童生徒に危害を与えることを前提としており、教員など内部の人間については、採用段階で悪意を持った人はいないという認識の下、前提にしていない」と説明した。また教員免許を担当する教育人材政策課は「今回のケースを採用段階で分かれというのは難しい話だと思う」とした上で、「各自治体には、今後も人物重視の採用を行ってほしい」と述べた。

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