静岡県牧之原市の認定こども園で園児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件を受け、小倉将信こども政策担当相は9月29日、園児の安全を確保するため送迎バスに安全装置の設置を義務付けることなどを盛り込んだ「緊急対策取りまとめにあたっての基本方針」を関係府省に指示した。
昨年7月、福岡県中間市で保育園の送迎バスに園児が置き去りにされ死亡した事件に続いて、今年9月に牧之原市でも同様の事件が発生したことを国は重く受け止め、岸田文雄首相は再発防止に向けた緊急対策の取りまとめを指示。これを受け、国は小倉担当相を長として内閣府、文科省、厚労省などで構成する、「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部におけるバス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する関係府省会議」を設置して、再発防止に向けた安全管理マニュアルの策定などについて検討してきた。
この日、小倉担当相が関係府省に指示した基本方針は次の4項目。▽送迎バスの安全装置について児童福祉法や認定こども園法、学校保健安全法などの体系の中で、最も適切な方法で義務化する▽安全装置の使用に関するガイドラインを作成する▽送迎バス運行にあたって園にとって分かりやすく、簡潔な安全管理マニュアルを早急に作成する▽園を支援するための措置として、全ての園の送迎用バスの安全装置改修支援、安全管理マニュアルの動画配信や研修の実施、登園管理システムの普及など財政措置を含め具体策を取りまとめる。
安全装置設置の義務付けの理由について、小倉担当相は「今回の事故は送迎バスに幼児が残っていないか、確認を行わなかったことが要因の1つと考えられている。そのため誰が運転するかに関わらず幼児の所在の確認が確実に行われるようにするため、全ての保育所等の送迎バスに幼児の見落としを防止する安全装置を備えることが必要だと判断した」と述べた。さらに義務化については、幼稚園、特別支援学校幼稚部、認定こども園、保育所をはじめ、認可外保育施設や小規模保育も含む、送迎バスを有する全ての園を対象とするとした。
安全装置については、「バスのエンジンを停止した後に、運転者が車内点検のためバス後部のスイッチを押さない限りバスが警報を発するものや、運転者が車内の点検を怠り、置き去りにされた幼児がいた場合に幼児を検知して車外に警報を発するものなどが考えられる。そういった複数の技術要件をまとめたガイドラインを年末までに検討してもらい、それを基にどのような装置の義務化をしていけばいいか考えていきたい」とした。
その上でヒューマンエラーについては、「安全管理マニュアルの中でできる限り詳細に書き込んで、人による事故を防ぎたいと思っている。それにあたっては単にマニュアルを作成するだけではなく、動画配信やリーフレット、ポスターなどを組み合わせて、分かりやすく簡潔なマニュアルの発信の仕方を工夫していきたい」と述べた。
次に掲げる方針に基づき、 緊急対策取りまとめに向けた作業を加速すること。