来年4月のこども家庭庁発足を前に、地方自治体が子供政策に関して関係部局でどのような連携体制をとっているか調査した結果がまとまり、同庁設立準備室が9月30日、公表した。各自治体独自の組織体制や相談体制、NPOとの連携などによる子供政策の事例を把握し、全国の自治体に参考にしてもらうのが狙い。小倉将信こども政策担当相は同日の閣議後会見で、「事例を自治体と広く共有すると同時に、今後は国と自治体の定期的な意見交換の機会などを活用して、事例の収集や展開を図っていく」と述べた。
同調査は4月15日~5月31日に、222 自治体(47都道府県、20政令市、62中核市、東京23区、70市町村)を対象として行われ、221自治体から回答を得た。
調査結果によると、関係部局間の連携における運用上の工夫としては、子供政策に係る関係部局を集めた会議を実施している自治体は全体の約7割。都道府県が81%、政令市が85%、中核市が66%、23区が78%、市町村が60%だった。人事上の併任発令を行っている自治体は全体の約2割あり、都道府県では約5割、政令市では6割が実施していた。教育関係の知識を持った職員を警察に配置する自治体もあった。
自治体内に子供政策の司令塔部局・総合調整部局を設置している自治体は全体の約3割。都道府県は28%、政令市は60%、中核市は34%、23区は17%、市町村は21%。幼稚園、保育所、認定こども園の所管を集約している自治体は全体の約4割に上り、このうち首長部局が約7割、教委が約3割だった。
NPOや民間との連携や人事交流を行っている自治体は全体の約2割で、中でも政令市では5割近くが連携済みと回答。いじめ問題に対応する何らかの窓口を首長部局に設置している自治体は全体の約4割で、特化した窓口を持つ自治体も約7%あった。こども家庭庁の設置に伴い、組織改編を検討するとした自治体は約2割だったものの、同庁設立の流れのなかですでに組織改編を行った自治体があるものとみられている。
調査結果には各地で実践されている事例も盛り込まれた。高知県、宮崎県では首長部局や教委に幼稚園・保育所・認定こども園などの業務を一元的に所管し、設置者や施設類型を問わず研修を一体的に実施しているほか、岐阜市では子供に関わる全ての人々の悩みや不安に対して関係機関とともにワンストップで対応する支援センターを開設、さらに児童虐待に対応するため県警、児童相談所の分室が入ったこどもサポート総合センターを設けている。
大阪府箕面市では0~5歳の就学前の子供に関する施策を教委に一元化し、子育てに関する部署をワンフロアに集めワンストップ窓口化。さらに市で管理する子供や家庭の情報を集約して、切れ目のない支援を行うためのデータベースを構築している。同府寝屋川市では、首長部局の「監察課」に設けたいじめの相談窓口にケースワーカーの経験や弁護士資格を有する職員を配置して、いじめの通報に対して速やかに対応することでいじめの深刻化を防止。千葉県松戸市ではNPOからの提案を受けて具体的な実施につなげる制度を設け、民間や行政のみでは解決が難しい地域課題に協働して対応している。