教員採用の早期化・複線化「早ければ24年度から」 永岡文科相

教員採用の早期化・複線化「早ければ24年度から」 永岡文科相
閣議後会見で質疑に答える永岡文科相
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 公立学校の教員採用選考試験の早期化や複線化に向け、永岡桂子文科相は10月3日の閣議後会見で、文科省と各教育委員会などによる協議会を10月中に立ち上げ、早い自治体では2024年度から新しい教員採用選考の仕組みをスタートさせる、との見通しを明らかにした。協議会を設置する狙いについて「大事なのは、日本全体で教師を目指してもらう人の数を増やし、質を高めていくということ。限られた志願者を奪い合うのではなく、新たに教師を目指す人を増やしたい」と説明した。

 永岡文科相は、9月29日にオンラインで開催した都道府県・指定都市教育委員会教育長会議の席上、21年度の教員採用選考試験で採用倍率が学校種の総計で3.7倍、小学校で2.5倍と過去最低となったことを踏まえ、教員採用選考の早期化や、複数回の実施による通年採用など選考の複線化を具体化させるため、文科省と教委などによる協議会をできるだけ早く立ち上げる考えを表明した。

 10月3日の記者会見では、この協議会を設置する狙いについて質問を受け、「現在の教員採用選考は7月に筆記試験、8月に面接、9月から10月に合格・採用内定というスケジュールになっている。民間企業の採用活動や地方公務員の採用試験が教員よりも早く行われることから、教員志願者の一部は民間企業や他の公務員に流れているという指摘がある」とした上で、「こうした状況において、協議会では各教委や大学と連携協力しながら、教員採用試験の早期化などについて、具体的な動きにつなげていければと思っている」と説明した。

 さらに、教員採用選考の早期化や複線化が実際に始まる時期について、「いま結論を出してすぐに、というわけにはいかない。協議会は今年10月からやるが、試験のこともあるので調整に時間がかかる。今年度は無理で、来年度にやるということではない。しっかり協議して、早ければ24年度に(早期化や複線化が)行われるように頑張りたい」と述べた。

 教員採用選考の早期化や複線化を巡っては、今年4月、当時の末松信介前文科相が各教委に取り組みを要請した。これに対して、一部の教委からは「一部の自治体だけが早期化や複線化を進めると、他の自治体の教員採用選考試験との重複合格のため、多くの辞退者が発生する恐れがある」などど、教員志望者の獲得競争が自治体間で過熱する事態を懸念する声が出た。このため、中教審は9月9日の合同会議で公表した中間まとめ案で、民間企業や地方公務員の採用活動との競合から「教員採用選考試験についても、その実施時期の早期化・複線化について検討する必要がある」としながらも、「国と任命権者が協議しながら検討を進めていくことが必要」と指摘している。

 こうした文科省と一部の教委との認識のギャップを踏まえ、永岡文科相は「大事なのは、日本全体で教師を目指してもらう人の数を増やして、質を高めていくということ。限られた志願者を奪い合うのではなく、教師を目指すことを諦めてしまう人々に、再び教師を目指してもらうように振り向いてもらい、新たに教師を目指す人を増やしたい、と考えている」と話した。

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