内閣府の第62回「子ども・子育て会議」が10月4日、オンラインを交えて開かれ、静岡県牧之原市の認定こども園で送迎バスに園児が置き去りにされ死亡した事件を巡り、再発防止に向け送迎バスに設置が義務化される見込みの安全装置の全額公費負担や、保育施設などでの人員配置増を求める意見などが委員から相次いだ。
同事件については、すでに小倉将信こども政策担当相が大臣指示として、園児が降車後に車内に取り残されていないかを確認するため、送迎バスに安全装置の設置を義務付けるよう関係府省に指示。さらに安全装置の仕様に関するガイドラインや送迎バス運行の安全管理マニュアルの作成、送迎バスの安全装置改修支援、安全管理マニュアルの動画配信や研修の実施、登園管理システムの普及などの財政措置を取ることとしている。
この日の会議の冒頭、小倉担当相は改めて大臣指示を紹介した上で、「今月中に緊急対策を取りまとめることとしており、しっかりと取り組んでいく」と述べた。
会議ではこの事件に関して、全国小規模保育協議会理事の駒崎弘樹委員は「義務化される安全装置の導入・運用にかかるコストの全額公費負担をお願いしたい。そもそも送迎バス運行というのは大変なので、公的支援の強化も求めたい」とした上で、義務化や支援の対象を保育所、幼稚園、認定こども園や特別支援学校幼稚部だけでなく、障害児用施設にも広げるよう要望した。
全国保育協議会副会長の森田信司委員は「このような事故を2度と起こさないためにも、余裕のある人材配置や財政支援をお願いしたい。またヒューマンエラーを防ぐための機械などの一刻も早い設置をお願いしたい」と、再発防止に向けて園側の人員増への配慮を求めた。
日本労働組合総連合会副事務局長の村上陽子委員は「子供を預ける保護者の立場からすれば、園児の出欠確認、不在児の保護者への連絡など当たり前のことで、事故を防げたにも関わらずこのようなことが起き大変残念。保育施設職員の皆さんによる確認の徹底を行ってもらいたい。その上で、送迎バスを有する施設に対する実地調査は今回に限定せず、今後も抜き打ちで継続して実施をお願いしたい」として継続的な安全管理の徹底を求めた。
また、全国認定こども園連絡協議会会長の戸巻聖委員は「子供たちの命を守るために、ハードとソフトの両面をきちっと整備していくことが大事だ。どんなにハードを整備しても使う者がしっかりした意識を持っていなければ、同じことを繰り返してしまう。職員の研修を進めていきたい」と、園の安全管理に向けた研修の重要性を指摘した。