いじめで不登校の児童に卒業証書渡されず 堺市が報告書

いじめで不登校の児童に卒業証書渡されず 堺市が報告書
iStock.com/kazuma seki
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 堺市教育委員会は10月13日、市立小学校で発生したいじめの重大事態に対し、いじめによる被害と学校側の対応が、被害児童の不登校と明確な関連性があるとする調査報告書を公表した。不登校となった被害児童に対しては卒業証書や市立中学校への入学通知書が渡されていなかった。

 市教委のいじめ重大事態調査委員会がまとめた報告書によると、被害児童は2014年度に市立小学校に入学して以降、担任の指導を威圧的に感じたり、私物がなくなったりするなどの状況がしばしばみられたが、4年生の12月ごろからトイレに行く回数が非常に多くなり、学校に行けなくなった。担任が保護者に事情を聞いたところ、同級生に嫌がらせを受けていることを訴えたため、加害児童にも事実を確認し、いじめとして指導を行った。

 しかし、被害児童に対するいじめは5年生になっても続いており、不登校になった。6年生になってからも不登校は続き、卒業を控えた2月に、担任は卒業証書に記載する名前の漢字を確認するための書類を保護者に渡したものの、その後、本来であれば渡すべき卒業証書や、中学校の入学通知書などを渡していなかった。また、市立中学校との引き継ぎでは、被害児童が友人関係で不登校になっていることは伝えたものの、具体的に誰とトラブルになったかや、いじめがあったことなどの詳細について小学校側は中学校に説明しておらず、中学1年生のときには、被害児童と加害児童が同じクラスになってしまった。

 報告書は学校側の一連の対応について、校内のいじめ・不登校対策委員会で担任から報告があったにもかかわらず、組織的な対応ができていなかったことを指摘。いじめ被害やその後の学校の対応と、被害児童の不登校の関連性は「明確に認められる」とした。

 市教委によると、渡されなかった卒業証書は現在も小学校で保管されており、中学3年生になった被害児童は現在も不登校の状態が続いているという。

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