事業者の負担「実質的ゼロに」、岸田首相 送迎バス安全装置

事業者の負担「実質的ゼロに」、岸田首相 送迎バス安全装置
衆院予算委で答弁する岸田首相(衆議院インターネット審議中継から)
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 幼稚園や保育所などの送迎バスに園児の降車を確認するための安全装置の設置が義務化されることに関し、岸田文雄首相は衆院予算委で10月17日、設置にかかる費用の園など事業者の負担について「実質的にゼロにする」と答弁した。義務化に伴う安全装置設置にかかる費用負担について、政府はこれまで財政支援を明言していたが、支援内容について具体的に触れたのは今回の岸田首相の答弁が初めてで、義務化は事業者の実質的な負担なしで進められることになった。

 予算委で牧島かれん議員(自民)が「来年の暑い夏が来るまでに、対象となる全ての送迎バスに安全装置を設置することが必要だ。ぜひ政府の責任で進めてもらいたい」と、設置費用の負担の在り方について質問。

 これに対して岸田首相は「安全装置を可能な限り早期に装備することは重要だと認識している。『こどもの安心・安全対策支援パッケージ』を総合経済対策に盛り込み、義務化される安全装置については事業者の負担が実質的にゼロになるよう財政措置を講じていく」と、送迎バスを運行する園など事業者に費用を負担させないことを明らかにした。

 また、岸田首相に先立って答弁に立った小倉将信こども政策担当相も「送迎バスの安全装置は義務化するという方針を示してから、実際に事業者に対して義務が課せられるまでの期間が短いことなどから財政支援を行い、事業者の負担をできる限り軽減するよう調整をしてまいりたい」と話した。

 静岡県牧之原市の認定こども園で発生した園児の送迎バス置き去り事件を受けて、国では送迎バスの安全管理の徹底に向けた緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」を10月12日にまとめた。幼稚園や保育所、認定こども園、特別支援学校などの送迎バスに子供たちの置き去りを防止する安全装置の設置を義務付けるとともに、年内に安全装置の仕様に関するガイドラインを作成するほか、安全装置や登園管理システムの導入支援など「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」を政府の総合経済対策に盛り込む方針を示していた。

 来年4月から設置が義務化される安全装置は、機材の調達の問題などを踏まえて1年間の猶予期間が設けられているが、暑さが増す6月までの実施が望ましいとされている。岸田首相の発言は、費用全額を国が支援することで安全装置の設置を迅速に進める狙いがあるとみられている。

 この問題に関しては立憲民主、日本維新の会、共産などの野党が10月14日、安全装置の設置義務付けと設置に伴う費用は全額国が負担することなどを盛り込んだ「通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止その他の認定こども園等における幼児等の安全の確保のための措置等に関する法律案(通園バス置き去り防止法案)」を衆院へ共同で提出している。

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