岸田首相「具体的な取り組み重ねる」 教員の処遇改善で答弁

岸田首相「具体的な取り組み重ねる」 教員の処遇改善で答弁
教員の処遇改善について、質疑に応じる岸田首相(衆議院インターネット審議中継より)
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 衆院予算委員会が10月17日開かれ、第210回臨時国会の論戦が本格的に始まった。岸田文雄首相は「わが国の社会と個人の未来は教育にかかっている」と強調。「具体的な取り組みを積み重ねることによって、教員のさまざまな環境整備を続けていかなければならない」と述べ、10月3日の所信表明と同様、長時間労働といった教員の労働環境について、改善に取り組む姿勢を改めて示した。永岡桂子文科相も「依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き取り組みを加速させていく必要がある」とし、給特法の見直しを含めた法整備を検討する意向を示した。

 この日は最初の質問者として、自民党の萩生田光一政調会長(元文科相)が「教育の成果を左右するのは教員。先生が長時間勤務で疲れ果てているようでは、子供たちの教育に全力投球できない」と述べ、教員の働き方改革に対する岸田首相の見解をただした。

 岸田首相は「新しい資本主義の柱の一つである人への投資。これは社会全体が急激に変化する中にあって、喫緊の課題であると認識している」と述べ、「創意や工夫、また新しいアイデアを生み出すのは人であり、わが国の社会と個人の未来、これは教育にかかっている」と強調。

 「特に子供たちの指導に当たる教員は学校教育の充実・発展に欠かせない存在であり、大変重要だ。具体的な取り組みを積み重ねることによって、教員のさまざまな環境整備を引き続き、続けていかなければならないと考えている」と述べ、教員の処遇改善に取り組む考えを改めて示した。

 これに対し、萩生田政調会長は「首相から教育の重要性、そして教員の重要性について、力強い言葉があった」と応じた。さらに「学校はブラックな職場であるとの指摘があるのも事実。教員の長時間勤務の実態は看過できるものではない」と指摘。永岡文科相に、給特法の在り方と小学校高学年に対する教科担任制について検討状況を問うた。

 永岡文科相は「時間外勤務は一定程度、改善傾向にあり、働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続き、取り組みを加速させていく必要がある」とし、文科省が現在行っている教員の勤務実態調査の結果を踏まえ、給特法などの法制的な枠組みの見直しを検討するとした。

 また、今年度から2025年度までに3800人の定数改善を行う、小学校高学年における教科担任制の推進については、「新たな時代に向けた学びとして必要な、STEAM教育などの専門的な教科指導の実施や、学校における働き方改革の観点からも推進が必要と認識をしている」と述べた上で、「今後とも専門性のある教師を増やすため、教職員定数の改善に全力で取り組む」とした。

 質疑応答の最後、萩生田政調会長は「もっと急げという声も多くある。これは本当に待ったなしだと思うので、大臣のリーダーシップでしっかりやっていただきたい」と注文を付けた。

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